2020年7月、コロナ禍のなか、シーズンが開幕し、各地から好記録のニュースが届いている。11日、検温や消毒など対策を徹底したうえで「この大会を皆さんのご協力で成功させなければ、今後の大会が開催できなくなるかもしれません」などとアナウンスされて始まった京都選手権。この日を待ちわびた選手たちが1秒でも1㎝でもと、それぞれの目標と記録にチャレンジした。
今季高校ランキング1位となっている110mHと走幅跳に出場した藤原
撮影◎椛本結城
大会初日の注目は、男子の洛南高勢。なかでも、昨年のインターハイ男子走幅跳を8m12の特大級の高校新記録で制した藤原孝輝(3年)に視線が集まった。藤原はまず自己ベスト13秒97(高2歴代2位)の110mH予選から始動。14秒35(-1.2)で組1着となった。決勝では、5台目以降に抜け出し、14秒17(-0.2)で快勝した。
フィニッシュしてすぐに向かった走幅跳では、1回目に7m42。幸先のいい出足だったが、2回目以降、踏み切りが合わず、5回目に跳んだ7m49がこの日の最長距離。「勝ちましたが、記録は思っていたものとは違う」と苦笑した。110mHも好記録だが、「10台の内、何台かで課題が見つかりました。14秒1台はよかったと思いますが、完全に満足というわけではありません」。自己採点は、合格点というより、及第点といったところだろうか。
女子は100mHに注目。昨年13秒18をマークした田中佑美(立命館大4年)と、この種目を高得点源とする七種競技のヘンプヒル恵(アトレ)が対決した。同組の予選では13秒60(-0.1)で田中が先着したが、決勝では田中が8台目のハードルに足をぶつけてしまい失速。付かず離れずだったヘンプヒルが13秒58(+0.4)で制した。
「競り合っていても自分のリズムでいけました。ここに合わせてきたわけではありませんが、その割にはキレを出せたと思います」とヘンプヒル。13秒60未満の記録は2017年日本選手権以来、3年ぶり。「新型コロナウイルスの影響がある状況ですが、大会が開かれ、やってきたことと現状をチェックすることができて、うれしかったです」と久しぶりのレースを楽しんだ。
東京選手権(7月23~26日)には七種競技にエントリー。昨シーズンは思うようなパフォーマンスや結果を出せず、苦悩の期間も過ごしたが、「(今季は)日本選手権混成でバーンと行きますよ」と、気持ちも弾む。浮上し始めた混成の女王に笑顔が戻ってきた。
女子4×100mRでは京都橘高(白金愛沙海/2年・山本亜美/3年・井上晴稀/3年・安達茉鈴/3年)が予選で46秒49をマーク。45秒台に迫る記録が期待された決勝は、雨脚が強まり、優勝したものの記録は47秒35にとどまった。安田文彦先生は「休校中は練習について指示をしていませんでしたが、それぞれが自主練習の動画を送ってくれたり、手作りのハードルを跳んだり、自分で考えて練習してくれており、学校での練習が再開してからの動きもブランクをほとんど感じないくらいでした」と話す。今後、リレーの機会があれば、要注目のチームだ。
女子1500mは4位までが4分25秒台。優勝した村松結(立命館宇治高2年)が4分25秒12で勝ち、4分25秒18で2位に入った橋本充央(福知山成美高3年)の好走も目を引いた。
京都選手権最終日は、12日に行われる予定だ。
文/中尾義理
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