3月12日、福島県郡山市にて東京五輪マラソン代表内定選手の記者会見が行われた。男子は服部勇馬(トヨタ自動車)が出席。東京五輪への意気込みを語った(記者会見要旨)。
写真上=記者会見には東京五輪男女マラソン代表および補欠選手が出席。前列左から補欠の大塚祥平(九電工)、服部勇馬、補欠の橋本峻(GMOインターネットグループ)。後列左から補欠の小原怜(天満屋)、鈴木亜由子(日本郵政グループ)、前田穂南(天満屋)、一山麻緒(ワコール)、補欠の松田瑞生(ダイハツ)。男子代表に内定した中村匠吾(富士通)、大迫傑(Nike)は新型コロナウイルス感染防止のため欠席(撮影/井沢雄一郎・陸上競技マガジン)
――現在の気持ちを聞かせてください。
服部 すごく負けず嫌いなところがあって、それを表に出さず、内に秘めていつも走っていました。本当にこうやって代表選手になれてすごくうれしいですし、今までは内に秘めていたものをオリンピックの舞台では思う存分、体で表現して最高の走りをしたいと思います。
――本番までのスケジュールはどのように考えていますか。
服部 この後のレースについては、東京までにはトラックレースを1本もしくは2本走って、ハーフマラソンを1本走る予定です。その後は約3カ月間、マラソン練習に充てるつもりで、国内で合宿を行った後、最後の1カ月はアメリカで合宿を行って調整して本番を迎えます。
――東京五輪代表のマラソン代表選考の方式が変わりました。その点はどのような影響を与えましたか。
服部 MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)の選考規定を見て、最初に思ったことは、MGCで勝ち抜くためには、まず強さが必要だと思いました。なので、勝てるイメージをつくって、福岡国際マラソン(2018年12月)で優勝しましたし、MGCでもそのイメージでレースに臨みました。オリンピックでも駆け引き等があって、最後は強い選手が勝つのかなと思うので、これまでやってきた取り組みをさらに向上させて、本番では良い走りをしたいと思っています。
――東京五輪では、どんな走りをしたいと考えていますか。
服部 東京五輪は夢の舞台なので、自分自身の最大限のパフォーマンスを発揮することだけを考えて、冷静に自分のペースで走っていきたいと思います。
――円谷幸吉さんのお墓参りで福島に来られて、どのような思いを抱き、その墓前でどのようなことを誓ったのでしょうか。
服部 今回、円谷さんのお墓参りをさせていただいて、日本の代表としてメダルを獲得した方というのは、本当に偉大だと感じました。円谷さんと一緒に走った君原(健二)さんや寺沢(徹)さんのお話を聞くことができて、国の代表として戦うとはこういうことなんだと感じることができて、とてもよい機会になりました。
――東京マラソンの大迫傑選手(Nike)のレースをどのように見ましたか。海外勢と戦う上で何が必要か、強化すべき点を教えてください。
服部 東京マラソンはテレビで見ていたのですが、大迫さんの実力ならば、日本記録を超えてくるだろうと思っていました。大迫さんの記録もそうですが、ほかの選手も2時間6分台、7分台と記録が続出して、現在の男子マラソン界の層の厚さを非常に感じましたし、自分自身、危機感を持ちました。ただ、海外勢との差は依然として開いているので、日本のトップ選手を含め全体の底上げはできていると思いますが、より一層スピードを強化して、僕自身、2時間4分台から5分前半を狙っていきたいです。東京五輪が終わってからより速さを求めて、僕自身も勝負していきたいという気持ちになりました。
――肉離れをしていたと聞いています。現在の状況と、先ほどレースをいくつか挙げていただきましたが、具体的に決めているものを教えてください。
服部 ケガは完治していて、今はスピード練習をやっていますし、体を追い込んだトレーニングもやっています。マラソン練習に入る前の下地づくりをまずは徹底的に行って、4月からは金栗記念の5000mとぎふ清流ハーフマラソンにエントリーする予定ですが、現状、こういう状況なので試合の変更等は(佐藤敏信)監督と相談しながら考えていきたいと思います。
――東京から札幌にコースが変更されて、どういうレース展開になりそうか、また具体的な目標を聞かせてください。
服部 札幌は日によって、暑くなったり、涼しくなったりするので、当日の状況次第で走り方も少し変わってくるかと思います。30キロ以降で集団に残っていたいですし、メダルを獲得したい気持ちはすごく強いのですが、そう簡単ではないので、まずは入賞圏内にいて、チャンスがあればメダル争いに加わりたい。そういう走りがしたいです。
――コース戦略として現在、考えていることは。
服部 札幌のコースのカギというか、特徴としてはカーブが多く、直角のカーブが何回もあるので、うまくカーブを乗り切ること。東京以上に道幅が狭いのでコースどりは非常に重要になってくると思います。
――先ほどの君原さんや寺沢さんとの話にあった、国の代表として走ることはプレッシャーと感じるか、やりがいと感じるのかを教えてください。
服部 56年前に東京でマラソンを走ったお三方が共通して言われていたのが、「自分のペースで走ること」でした。僕自身も、いつもどおりのレースを心掛けようと思いましたし、偉大なお三方、一人は円谷さんのお兄さんからの言葉でしたが、自分のペースで走ること、それだけは崩したくないし、自分の持てる力を最大限発揮することで、メダル、入賞も見えてくるのではと思いました。初めての舞台で緊張もしますし、プレッシャーも懸かりますが、自分自身が目指した夢の舞台であることには変わりありません。その夢の舞台を思う存分楽しんで、良い結果を残せたら最高だと思います。
■中村匠吾(富士通)コメント
男女3名の代表選手が決定し、いよいよ本番に向け、気持ちを新たにしています。MGCが終わって半年がたち、ここまで順調に準備を進めることができています。これもご声援いただいている皆さまやサポートしてくださる方々のおかげです。これからも愚直に練習に取り組み、スタート地点に立つまでにできる限りの準備をしてレースに臨みたいと思っています。
これまでと変わらず「オリンピック当日に持てる力を発揮すること」が目標です。そのためには、一日一日、練習を積み重ねていくことが大事であり、その先に、自分が満足できる結果がついてくることが理想です。オリンピックまで、一歩ずつ地道に進んでいこうと思います。
■大迫 傑(Nike)コメント
このたび、オリンピックマラソン代表になれたことで、今までと変わらずレースに向けて準備をし、万全の体調で臨みたいと思います。
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