オリンピックイヤーの最初のレースとして争われる第64回全日本実業団対抗駅伝(通称ニューイヤー駅伝)。マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)優勝の中村匠吾擁する富士通が東日本実業団駅伝で落選した一方、今年から駅伝に参戦したGMOインターネットグループ、そしてコモディイイダが初出場を果たした。優勝旗をつかむのは果たしてどのチームか。
写真上=4連覇を狙う旭化成・茂木(左)と王座奪還を目指すトヨタ自動車・服部
撮影/福地和男(陸上競技マガジン)、JMPA
戦力的には旭化成とトヨタ自動車の2強と言えそうだ。大会4連覇を狙う旭化成は10000m日本記録保持者の村山紘太がエントリーから外れたが、若手選手に勢いがある。12月1日に行われた甲佐10マイルで小野知大、齋藤椋が好走し、チームのメンバー争いを活性化させている。九州実業団駅伝で1区2位の茂木圭次郎も11月の八王子ロングディスタンス10000mで28分06秒51の自己ベスト。またベテラン勢では市田宏が甲佐10マイルで日本人トップの46分02秒で走り、村山謙太も復調している姿を見せた。あとは鎧坂哲哉、市田孝など実績ある選手の状態がどこまで上がってくるか。
旭化成の前に立ちふさがる筆頭候補は4年ぶりの王座を狙うトヨタ自動車。MGC2位で東京五輪マラソン代表となった服部勇馬を中心に戦力が整う。11月17日の中部実業団駅伝では6年連覇を果たし、1週間後の八王子ロングディスタンスでは大石港与が28分10秒92、西山雄介も28分16秒41と好記録を残している。また福岡国際マラソンを2時間09分36秒で日本人トップの2位に入った藤本拓も、問題なく駅伝へ移行した。他には北海道マラソン優勝の松本稜に加え、今季5000mで日本ランキング1位の田中秀幸が控える。宮脇千博の状態が戻れば、選手層は一気に厚くなるだろう。
2強を追うと目されるのがコニカミノルタ。エースの山本浩之、蜂須賀源が好調で、東日本大会を5年ぶりに制した。全体的な選手層では先の2チームに比べて若干薄めだが、今季力を伸ばした大山憲明、ベテランの菊地賢人が好調を維持している。過去3大会、1区で出遅れているため、まずは序盤で流れに乗りたい。東日本実業団駅伝2位のHondaは設楽悠太がニューイヤー駅伝の最長区間4区で過去3回区間賞。今回もこのエース区間を担う可能性が高い。田口雅也、上野渉ら脇を固める選手も堅調なだけに、設楽にいい位置でタスキをつなげれば面白くなる。
前回2位のMHPSは九州大会5位。MGCでまさかの失速を見せた井上大仁が区間賞を獲得と復調の兆しを見せた一方、同じくMGC出場の木滑良が欠場、岩田勇治が振るわなかった。そこからどう立て直してくるか。中国実業団駅伝優勝のマツダは山本憲二、延藤潤の東洋大OBコンビが軸でベテランの圓井彰彦も健在。中国大会はすべて区間3位以内でまとめた。同様にSGホールディングスも関西大会をすべて区間3位以内で制している。
他にもJR東日本、愛三工業などが地区大会で上位に入っている。入賞争いは混戦となりそうだ。
文/加藤康博
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