WBO世界フライ級チャンピオン田中恒成(23歳=畑中)の2度目の防衛戦が8月24日(土)、愛知県名古屋市の武田テバオーシャンアリーナで行われることが29日、名古屋市内のCBCテレビで発表された。挑戦者は1位のジョナサン・ゴンサレス(28歳=プエルトリコ)。“ボンバ(爆弾)”のニックネームを持つサウスポーだ。なお、試合はTBS系で全国生中継される予定だ。

上写真=WBO3階級のベルトを引っさげ、指名挑戦者ゴンサレスを討つ!

 昨年9月に木村翔(青木)から王座を奪い、3月に元WBA&IBFライトフライ級王者・田口良一(ワタナベ)を下して初防衛を果たした田中恒成。世界最速タイとなる12戦での3階級制覇を達成するとともに、2戦続けてハードな打ち合いを制し、あらためて“強さ”を証明したわけだが、今度の指名試合では、「自分自身の最大の武器であるスピードを前面に出して、KOで勝ちたい」と語る。「スピードとテクニックを持つ」と評価するゴンサレスをスピードで上回りたいというプライドがにじみ出る。

 木村戦、田口戦は、日本人対決という側面と同時に、両選手の男気に応えたいという想いも強かったはず。スピードや技術で上回りながら、“相手の土俵でも凌駕したい”想いがほとばしった。試合としては大いに盛り上がり、特に木村戦はWBOの年間最高試合に加え、国内の同賞も受賞した。日本中のボクシングファンを感動の嵐に包み込んだ。しかし、一方で、こんな思いも浮かび上がった。「打たせず打つボクシングができるのを知っている。けれども──」。被弾も多く、田中恒成という、“井上尚弥に比肩する才”を、圧倒的にアピールするまでは至らなかった。

 彼の底知れぬ能力を知る者にとっては、実にもどかしい、歯がゆい思いを抱いたが、きっと自身がいちばん強く深く感じたことだろう。

ハンドスピード、体全体のスピード……。史上最速の恒成に期待!

 2歳年上の井上尚弥は、もっとも尊敬する選手であり、同時に目指すべき指標でもある。先日のグラスゴー決戦に、「みなさんと同じように凄いなという印象を持ちましたし、同時にどこか悔しい想いもある」と刺激を受けた。同じボクサーとして、「尚弥さんを凄いと言って、悔しい思いを持たないなら、選手として終わってる」とも。それでこそプロであり、見る者は田中恒成自身が抱く理想にとことん付き合いたいとも思うのだ。

 フィジカルトレーニングを担当する河合貞利トレーナーが丁寧に解説する。
「ミニマム級から始めて、いまのフライ級でパワー系のボクシングに偏ってる分、重心が前にいって、その分、中間距離、中の戦いになってパンチをもらったり……。でも、これまでやってきたこと自体は決して無駄じゃない。
 ミニマムでやれていたことを、いま、フライでもう1度見直したほうがいいんじゃないかと。いまも、この先も、スピードは恒成の武器。パワー系をやると、どうしても関節の可動域が狭くなり、それがちょっと目立ってきたので、柔軟性、可動域を戻してケガをしないようにということも含めて、体づくりをしたい。
 パワーは木村戦、田口戦で証明できたので、引き続き、いまの状態の中で、スピードと使い分けができるようバランスを取りたい」

鉄壁の『Team KOsei』。左から河合トレーナー、畑中清詞会長、父・斉トレーナー。恒成は6月頭から、東京五輪を目指す兄・亮明とともにフィリピンのエロルデジムで、2週間ほどのキャンプに入る

 スピードのあるゴンサレスをパワーで圧倒したい、ではなく、自らの原点を見直す、最大の武器をさらに磨くという方向性は、実に楽しみだ。“男と男の戦い”を乗り越える姿は、ここ2戦でもう十分見せた。彼の大いなる経験にもなった。それを根幹に植えつけつつ、“基礎”を再構築する。

「関係者やみなさんに、『もっとこいついけるな』と、先の未来を描いてもらえるような試合にしたい」(田中)。そう、次は、次からは、自分本位の戦いに没頭、邁進すればよい。
 ゴンサレス戦は、新たな“ターニング・ポイント”になりそうだ。

田中恒成:13戦13勝7KO
ジョナサン・ゴンサレス:26戦22勝13KO2敗1分1無効試合

文&写真_本間 暁


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