13日、東京・後楽園ホールで行われた日本ミニマム級タイトルマッチ10回戦は、チャンピオンの田中教仁(34歳=三迫)が、挑戦者の8位・春口直也(29歳=橋口)を3-0の判定で下し、初防衛に成功した。5回にダウンを奪った田中は、春口を引き寄せてカウンターをヒットさせる技に徹し、2017年5月に喫した判定負けの雪辱を果たした。

上写真=田中は、得意の右クロスを再三ヒットしてみせた

 2度ダウンを奪い、3度目はスリップの裁定となった末の判定負け。春口の地元・鹿児島に乗り込んでの試合は、物議を醸したものだったが、「リベンジという意識はしない」と田中。気持ちを入れ込みすぎ、前がかりになりすぎる自分を抑制するためだろう。その意識があったら「やられてた」と田中は試合後、振り返った。

 身長差10cm。ミニマム級では破格の一撃を持つ田中だが、大柄な春口との正面きっての打ち合いは得策ではないと感じたのだろう。距離をとり、回り、春口を引き寄せて、打たせてかわし、打つ。この作戦が奏功した。挑戦者は、追いかけながらワンツーをベースにした連打を繰り出していくが、王者は、しっかりと動きを読み取ってガードやボディワークでかわし、要所で得意の右クロスをヒットさせていく。距離や“間”が悪くなると、左ジャブを的確にヒットさせて、春口を止めてみせた。

痛烈なダウンだったが、春口はこの後立ち上がって、最後の最後まで粘った

 5回には右のカウンターで春口をバッタリと前のめりに倒したが、立ち上がった挑戦者も必死に打ち返してここはしのいだ。

 その後、田中は左のボディブローでもダメージを与え、接近戦でも左アッパーカットを突き上げてポイントを積み重ねていく。しかし、距離ができての右の相打ちでは春口が打ち勝つシーンもあった。

 危険なタイミングを外し、完全に田中ペースとなっていた9回、ふとした間を突いて、春口がワンツーをヒット。田中が大きく後方に揺らいだが、「スパーリングでもそういう場面が何度もあって対処してきた」王者は、落ち着いてクリンチで切るなど、経験の大きさを示した。

 ボディが効いていて力感を失っていた春口だが、最後まで田中を倒しにいった。だが、王者も右クロスと左ボディで対抗。96対93、97対92が二者の3-0判定勝利を握った。

地味だが、数種類あるという左ジャブが光った。「練習を何度も繰り返した」(鈴木トレーナー=左)もので、田中はそれを実演してくれたが、「この打ち方は内緒にしといてください((笑))」と記者に釘を刺した
写真_本間 暁

「まだまだ国内には強い選手がいるけれど、会長がどう判断するか。防衛はもちろん嬉しいけれど、ここで満足はしない」と田中。三迫貴志会長は、「(右を)狙いすぎ。でも、勝って反省できるのはいいこと」と、田中にさらなる向上を求めた。

 一撃に頼りすぎず、鈴木啓太トレーナーと磨いたという左ジャブと、ヒザを柔らかく使って距離をとる足さばきは、確実に引き出しを増やすもの。“大人のボクシング”を印象づける戦いだった。
 田中は26戦19勝(10KO)7敗。春口は26戦15勝(6KO)11敗。

木村はアッパーカットを狙われていたが、逆にこの左アッパーを効かせてからの連打で仕留めた

 また、スーパーフェザー級8回戦に登場した日本同級7位の木村吉光(22歳=白井・具志堅スポーツ)は、フィリピン・フェザー級6位のジュール・ビクトリアノ(21歳)とダウン応酬の激戦を演じた末、5回2分53秒TKO勝ち。打ち終わりを狙われた木村だったが、パンチ、下半身の動きともにシャープで、上位進出を期待させる出来栄えだった。木村は13戦12勝(7KO)1敗。ビクトリアノは11戦9勝(6KO)2敗。

文_本間 暁
写真_山口高明

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