『第41回チャンピオンカーニバル』(日本王者と最強挑戦者が雌雄を決する日本タイトルマッチ。年明けから13階級で開催)のミニマム級チャレンジャーを決める『最強挑戦者決定戦8回戦』が21日、東京・後楽園ホールで行われ、日本1位の谷口将隆(25歳=ワタナベ)が2位の石澤開(22歳=M.T)を77対74、77対74、78対74の3-0判定で下し、日本王座挑戦権を獲得した。

上写真=右フックで石澤のボディを叩く谷口

 経験豊富な谷口vs.6戦6勝6KOのホープ石澤。注目の一戦は、予想以上の熱闘となった。

 谷口は2017年4月に日本王座決定戦(vs.小西伶弥=真正)、同年11月にはOPBF東洋太平洋王座挑戦(vs.小浦翼=E&Jカシアス)をいずれも大接戦の僅差で落としたが、昨年11月にジョエル・リノ(フィリピン)を下して空位のWBOアジアパシフィック王座に就いた。そして今年2月にWBO王者ビック・サルダール(フィリピン)に挑戦。しかし、王者の老獪なボクシングに完敗を喫した。

 現・WBA世界ライトフライ級スーパー王者・京口紘人とともに関西大学リーグで腕を磨き、同時に鳴り物入りでプロデビューしたが、出世争いでは後塵を拝している。その焦りもあってか、アウトボクシングとファイタースタイルの狭間で迷いを見せていたように思う。しかし、この日の戦い方は、自身の目指すべき方向性を見つけ、それをいかんなく発揮したように感じた。

「サルダールにやられたことで学んだ」と谷口。距離をとって、石澤の強打を外しつつ、サウスポーの特性を生かすのではなく、自ら接近戦を挑み、脱力から細かい連打を多方向に打ち分けて、その中に強いパンチを織り交ぜるスタイルを徹底した。

 いわゆる緩急を使った攻撃。コツコツとパンチを集められ、苛々するとともにリズムに乗れない石澤は、ビッグスイングを繰り返す。谷口は石澤の死角に回り込んだり、サイドを取ったりしてかわす。「川島郭志さん(元WBC世界スーパーフライ級王者)を意識した」(谷口)というスタイルは、闘牛士さながらの巧みさだった。

5回、谷口を倒した石澤が吠える。大逆転勝利も感じさせたが、その後も谷口のテクニックに押された

 3回に左ストレートで石澤の右目上を切り裂いた谷口は、5回に入るとその左を立て続けに強くヒット。「そろそろ決めにいこうかと思った」と、左アッパーカットを混ぜ込んだところへ石澤の右オーバーハンドがどんぴしゃり。谷口はダウンを喫してしまった。

画像: 谷口の左ボディブローが石澤のみぞおちを捉える。石澤は上も下もダメージを感じさせたが、気迫で最後まで攻めた

谷口の左ボディブローが石澤のみぞおちを捉える。石澤は上も下もダメージを感じさせたが、気迫で最後まで攻めた

 この一撃で鼻血も流しだした谷口だが、左ストレートを石澤のボディへ送る。石澤はこれに対し右を狙う。流血戦となったが、強弱、緩急に加え、上下へ打ち分ける谷口の技術が石澤を上回る。一撃のパワーと気迫はものすごい石澤だが、谷口の連打をまともに食らうシーンも再三あった。いくら軽打とはいえ、数をもらえばダメージは蓄積する。将来性豊かな石澤だからこそ、防御意識と技術の習得を促したい。

「なんとか生き残りました」と谷口はホッとした表情

 世界タイトルマッチまでやった男が、敢えて日本タイトルからの出直しを誓って臨んだ挑戦者決定戦。その気概が現れた戦いだった。普段は仲がいいが、“ライバル”でもある京口を「意識するな」、というほうが難しいかもしれない。だが、京口には京口の進むスピードが、谷口には谷口の歩幅があるはずだ。

文_本間 暁
写真_馬場高志

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