10日、東京・後楽園ホールで行われた56.0kg契約4回戦で元WBA世界ライトフライ級王者・山口圭司さんの息子、臣馬(しんば)が白井・具志堅スポーツジムからプロデビュー。サウスポーだった父とは違い、オーソドックスで構える臣馬は「ずっと、あの右クロスで倒すことを想像していた」という右の一撃でバンチャー・ナティーキリカン(タイ)を倒し、わずか40秒で試合を終わらせた。

写真上=鮮やかなデビューを飾り、先輩・屋嘉部(右)に祝福される山口

「嬉しいですけど、まだちょっと実感がないです」と初々しい笑顔で振り返った山口。4歳のころから母の故郷、沖縄で育ち、中学1年のときに初めてグローブを握った。離れて暮らす父に手ほどきを受けたことはないという。ボクシングにも「まったく興味なかったんですけど、小6のときに無性にやりたくなって。いつの間にか」。当時、母には「『やるときがくるんじゃないかと思った』と言われました」というから、やはり“血”だったのだろうか。

中学のころは、経験のある練習生が中心になって指導を行う那覇の奥武山公園内にある“道場”で練習に励んだ。「自信あったんですけど、最初はボコられて。めちゃめちゃ悔しくて、泣いたのを覚えてます」という少年が、本格的にボクシングを始めるのは沖縄水産高校ボクシング部から。3年時の昨年にインターハイ初出場を果たすも初戦で敗退。高校通算29勝7KO・RSC14敗の戦績を残した。

卒業後、高校の1学年上の先輩、屋嘉部悠大を慕って、白井・具志堅ジムに入門。高校時代は「朝5時半に集合して、一緒に校舎の中をぐるぐる階段を上ったり、降りたりしながら走り込んでいました」(屋嘉部)という先輩と再び東京で切磋琢磨する。

父と同じ1ラウンドで初陣を飾ったものの、高校2年のときに第1回大会が開催された全国選抜大会を制し、インターハイ、国体と合わせて史上初の高校3冠王となった父とは、デビュー時の実績、経験に大きな開きがある。「まだ自分のスタイルが定まらないので、まず基礎を固めてから、(自分のスタイルを)見つけていきたいと思います」と山口。奇抜なボクシングスタイルで1990年代に人気を博したナジーム・ハメドを信奉した父のようなスタイルは、「自分はしないです」と笑った。

父は息子のデビューに際し、「頑張れ。絶対に勝てよ」とメッセージをくれたのだという。そのシンプルな言葉を胸に、これからプロのリングで一歩一歩、父の背中を追いかける。

文・写真◉船橋真二郎

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