3日、東京・後楽園ホールで開催された『第76回東日本新人王決勝』。不戦となったライト級を除く11階級で争われたが、最優秀選手賞を獲得したのは、“亀田三兄弟の従弟”として注目を集めていた亀田京之介(21歳=協栄)だ。フェザー級5回戦に登場した亀田は、5戦5勝3KOのサウスポー、今成太希(22歳=三迫)の強打をひらりひらりとかわしながら、右アッパーカットで3回1分10秒TKO勝利。打たせず打つ、そして決定打をヒットする。巧さと強さを披露して堂々のMVP獲得だ。亀田の戦績は7戦5勝4KO1敗1分。

上写真=今成の豪快なスイングをかわし、右カウンターをヒットする亀田

「どんなもんじゃい!」。勝利者インタビューに臨んだ亀田は、「全日本に勝ってから言おうと思ってたんですけど……」と少し照れながら前置きし、気持ちを抑えきれずに会場に向かって雄たけびをあげた。会心の勝利に加え、しっかりと自分の力で勝ち取った初めての栄冠。その気分は理解できる。

 U-15など、アマチュアキャリアを培っていた時代から、常に“亀田三兄弟の従弟”というプレッシャーを身にまといながら戦ってきた。けれど、自ら選んだ道。「プレッシャーなんか言い出したらキリがない」と、その圧を飼いならしてきた。

 当然、相手は意識を倍増させて向かってくる。昨年元日のプロデビュー戦で、いきなりTKO負けの憂き目に遭ってしまった。

強い圧力を受けても、しっかりと相手を見る。かつての苦い経験が生きた

 けれども、そんなことではへこたれなかった。立ち上がり、ふたたび走り続ける。ジムも敢えて新人王戦といういばらの道を歩ませた。“本物の強さ”を手に入れるためだ。

 対照的に、アマキャリアもないプロの叩き上げで、パンチャーとして頭角を現してきた今成に対し、左ジャブ、フットワークを駆使しながら、左ストレートをかわしざま、右ストレートをカウンター。さらに、低い姿勢で入ってくる今成に、タイミングばっちりの右アッパーを合わせる。今成の圧力にロープを背負わされても、左右フックをウィービングできっちりかわし、スッとサイドへ回り込む。初回に右目上をカットしたが、それでもかつて見せたような舞い上がる姿は皆無だった。

しっかりと、自らの力で立つ。だからこそ、勝利の味は格別だ

「落ち着いて、相手がよく見えるようになった。セコンドの指示もよく聞こえるようになった。試合の経験もそうだし、スパーリングでも、そこを意識してできるようになった」。打たれてカッとなり、無茶な姿勢もお構いなしに打ち合って失敗した、自らの弱点としっかり向き合った成果だ。

「キレて自分を見失うのが怖かったけれど、ようやく注目度に実力がついてきた」と金平桂一郎会長も、選んだ路線の確かさをかみしめる。

試合直後でも冷静に振り返れる。それは、しっかりと考えて戦っていた証拠だ
写真_本間 暁

「それでも、まだ焦るところがあった。だから80点。けど、足を使って距離でかわし、カウンターを当てる。自分の理想のスタイルはできてきている」と、しっかり自己分析もこなす。

 ひとつめの“難関”は、最高のかたちでクリアした。次は12月22日(日)、後楽園ホールで行われる『全日本新人王決定戦』。対する西軍代表は、1週間後の10日(日)、エディオンアリーナ大阪第2競技場で決まる。日本拳法界のスターからボクシングに転向してきたこれまた話題の前田稔輝(23歳=グリーンツダ)対4戦オールKO勝利の福永輝(20歳=沖縄ワールドリング)の勝者だ。

 いずれが勝ち上がってくるにせよ、大注目の一戦。会場は超満員のすし詰め状態になるはずだ。

文_本間 暁
写真_小河原友信

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