28日、東京・後楽園ホールで行われた元世界王者同士によるWBO女子世界ミニマム級王座決定戦、多田悦子(真正)と宮尾綾香(ワタナベ)の10回戦は三者三様の引き分けに終わり、新王者の誕生はなかった。

写真上=激しいペース争いを繰り広げた宮尾(左)と多田

 38歳の多田と36歳の宮尾。すでに数々の実績を持つ両者は懸命なペース争いを展開した。序盤、明らかに攻め数で上回った宮尾も中盤、多田の強いストレートに後手に回る。互いに「勝った」とは思ったが、ドローの判定が出たら、反証できるほどには自信はなかった。

 距離をとってジャブ、ワンツーに終始した多田はいかにも単調、淡白に過ぎた。相手の打ち終わりを狙って飛び込んだ宮尾は、右のオーバーハンドを軸に戦ったが、これぞと強調できる一発はない。

 多田は2ヵ月前に足を肉離れ。「誤魔化し、誤魔化しながら戦いました。ちゃんと仕上げてきた宮尾さんに申し訳ない」。そして「勝って終わりたかった。でも、これじゃ……」。口調は沈んだまま。

 宮尾も「練習してきたパンチも当たったんですが、結果は応援してくれた人たちに申し訳ないです。チャンスをもらっている立場なので……」。どちらも今後については歯切れが悪い。女子ボクシングのパイオニアともいえる2人。残りの居場所は、そんなにない。だからこそ、満足できる結末にたどり着いてほしいもの。だが、状況が決してたやすくないのは、この2人こそが誰よりも知っている。

文◉宮崎正博
写真◉小河原友信


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