13日、東京・後楽園ホールで行われた119ポンド(53.9kg=スーパーバンタム級)契約8回戦は、元WBC世界フライ級チャンピオンで現WBCバンタム級7位の比嘉大吾(24歳=白井・具志堅スポーツ)が、フィリピン・バンタム級11位のジェイソン・ブエナオブラ(25歳)を6回2分25秒TKO。2018年4月以来のリング復帰を果たした。

上写真=徹底的にボディを攻めた比嘉。しかし、クリーンヒットを奪うことはなかなかできなかった

 チケットは早々に完売。ホール下の出入り口付近にひしめくファンの姿は、27年前の光景をよみがえらせた。ユーリ・アルバチャコフとの日本王座防衛戦をキャンセルし、2年半ぶりに復帰したピューマ渡久地を迎えた後楽園ホールの雰囲気だ。
 渡久地と比嘉。同郷(沖縄)、長期ブランク、強打で魅了する選手という共通点も相まって、ブランクをつくった理由こそ違えど、オールドファンも含めた熱狂を呼んだのだろう。

 2018年4月。世界王座3度目の防衛戦でウェイトオーバーをおかし、王座剥奪、さらには初黒星を喫した比嘉。JBC(日本ボクシングコミッション)から資格停止処分のサスペンドを受け、昨年10月に処分解除。1月10日に正式に再起会見を行うと、こんなご時世にもかかわらず、チケットは飛ぶように売れていった。

 最高で67、8kgあったというウェイトは、ひと月前で60kgほど。この1ヵ月で急ピッチに仕上げた肉体は、ベストコンディションには程遠かったが、結果から見ればまずまずなのだろう。

 長身サウスポーのブエナオブラを、最初から最後まで徹底的に攻めまくった。上体をグッと沈め、アウトサイド、インサイドと左足で切り込む。右ストレートをボディに送り、豪快な左右フックを振る。だが、ディフェンシブなブエナオブラをなかなか崩せない。距離は合わず、隙に突き刺すこともかなわず、必死に追いかけるパターンが繰り返された。
「入り方を忘れていて、なかなかうまくいかなかった」と比嘉もフラストレーションを抱えていたようだが、「練習不足とか、ブランクは言い訳になりません」と自身の甘さを自ら切り捨てた。

 絶頂時には、最初から最後までトップスピードで駆け抜けた。だが、この日は打ち疲れて休む場面も見られた。下半身が上体の迫力についていかず、体が流れるシーンもあった。骨盤を生かした打ち方もできない。重心が浮いて、最大のパワーを発揮することもできなかった。

 しかし、じょじょにボディブローでブエナオブラを失速させると6回、右ボディアッパーでついにダウンを奪う。ここは立ち上がったブエナオブラに左ボディフック。ふたたび倒れこんだブエナオブラを、レフェリーが救った。

かつての“片鱗”は見せたものの、全盛には程遠い比嘉。モチベーションを最大に上げることはできるのだろうか

「倒したい気持ちはあったけれど、体がついていかない。勝ててよかった」という比嘉は、熱狂的に迎えてくれたファンに感謝の言葉を贈ったが、「モチベーションが上がらなければ、辞めようとか思う。今後のことは、いろいろ考えます」と語る。

 ブランク明けとしては上々だったと思うが、もっとも大切な“気持ち”が整う日は訪れるのだろうか。
 心・技・体すべてがそろった比嘉をもう1度見たい。これこそが、ファン全員の想いだと思う。

文_本間 暁
写真_小河原友信

おすすめ記事

ボクシング・マガジン 2020年2月号


This article is a sponsored article by
''.