ビッグマッチの目標は新型コロナウイルス流行で遠のいたかもしれない。WBA世界ミドル級チャンピオン、村田諒太(帝拳)の表情は、だが、とことん明るかった。「自分で考えて、何かをやっていく」時間ができたことで、あらためて気がついた。「僕はボクシングが、どこまでも好きなんですね」。ボクシング・マガジン8月号、村田は活き活きとインタビューに答えてくれた。

上写真=広い帝拳ジムを独り占め。村田は本格的に再始動した

 午前11時、帝拳ジムでトレーニングするボクサーは、村田ただひとり。日本のエースだからこそ許された特権である。

 コロナ・ブレイクの間、村田の望みはやや遠くになってしまった。今年の初旬、ミドル級の第一人者、サウル・アルバレス(メキシコ)との対戦話が具体化しつつあると報じられた。結局、早期の実現は叶わなかったが、それでも年内には、カネロとわたり合う可能性も大いに語られた。だが、それも今となっては難しくなった。世界中のボクシング・スケジュールが大幅に順延されているからだ。

 練習がある日常を失った村田は、故郷の奈良に帰った。その間、自分が何をすべきか、どうしたいのかと自問自答した。さまざまな答えも見つけた。新しい出会いもあった。さらに、“かつて”を思い出した。

「大学のころから、指導者がいなくて、自分が考えながらすべてをやっていました」

 そう、だから、ボクシングがもっと面白くなっていったのだ。五輪の頂点に立ち、プロの世界チャンピオンにもなったが、ともすれば“あのころ”を忘れがちになっていたかもしれない。だが、昔にいったん帰ったことで、忘れ物をすっかり見つけ出せた。だから、こういう言葉にもなる。

「ようやくボクシングが分かってきたばかり。それで、すぐにサヨナラじゃ、いやですね」

 まだまだ、何年も先がある。年齢は34歳になってはいても、体の中からはっきりと成長音も聞こえてくる。

 本格的な練習再開後、新たに加えたトレーニングメニューの話題もある。そして、何より新しい感覚で満たされた今を、村田はつぶさに語ってくれたのだ。

「僕のボクシングには何年も先があると信じています」

写真◎菊田義久

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ボクシング・マガジン 2020年8月号


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