今年1月、日本のスポーツビジネス界に衝撃が走った。「アンディが、格闘技に進出する!」。アメリカンフットボールで日本一になり、スポンサーとしてサッカーワールドカップに関わり、スポーツにおけるスポンサーシップの効果を測定する日本法人の代表として確実な成果を上げてきたアンディこと秦英之が、ONE Championshipの日本の代表になると、自らのSNSで発信した。何を求めてこの選択をしたのか。秦の学生時代から親交のあるベースボール・マガジン社の樋口がその真相に迫った。【聞き手/樋口幸也(弊社執行役員) 写真/水野嘉之】

――そこが理解ができなかったところです。今の説明が非常によくわかりました。興行ではないんですね。

 興行ではありません。

――試合の場であると。

 そう、100%真剣勝負。興行という言葉がどこまで通じるかわかりませんが、競技性あっての勝負です。他のスポーツとなんらかわりません。

 ビジネスという点でもう1つ付け加えると、上場を目指している団体だから、透明性が求められています。出資者もリターンを求める。その相乗効果がスポーツビジネスであり、それが、グローバル化につながります。独自のプラットフォームで他地域が賛同できないものはグローバル化できない。オープンプラットフォームだから透明性もあり、よりよい資金が入り込んで、市場が活性化して大きくなっていく。この原理原則がエコシステムであり、透明性をもってエコシステムを作れるかどうかが、成長につながっていきます。

――チケットの売れ行きも順調です。

 そうですね。今、8割近く売れています。競技性をもたらすための素直なメッセージをぶれずに、伝えていくべきだと考えています。

――いままで、透明性という部分が、日本の格闘技文化には足りなかった。そこを透明化するのがONEであるということですね。

 そうですね。

――そういう点で、今までの、今までのと言ってしまっていいのかわかりませんが、一般の日本人が考えている格闘技との相違点と見てもいいということですね。 

 そうですね。あとは、仕組みへのこだわりです。エコシステムの正当性を関係する人たちと一緒になって組み上げていく。成功するには、ONEだけが潤うのではなく、関連団体も潤う必要があります。ただ単に有能な選手を集めてきてONEの試合に出していくのではなく、配給先である、例えば、修斗やPANCRAS、新空手などその国の団体と業務提携をする。上からかぶせて押しつけるのではなく、一緒になってこの産業が潤うような仕組みをつくっていくのが大きなポイントです。

 修斗を事例に出すと、アマで優勝した人たちが奨学金を得て、シンガポールのグローバルのトレーニング施設を1年間使える奨学制度を作る。修斗のプロが優勝するとONEと独占契約をして参戦できる権利を得る。競技性のピラミッドを作る上で、シームレスの登竜門を作るというのもポイントです。

――3月31日の両国大会を迎えるにあたって、有象無象の人たちと調整したのではないか、苦労されたのではないかと思うのです。 

 苦労? 逆です。実はこれからこのエコシステムに関わる人たとは、元気のない方々なのか、落胆している方々なのか、押さえつけられている方々なのか、最初はわかりませんでした。しかし、その塊を体感することができたのは喜びでした。もつれた糸を1本1本解きほどくことによって、おっ、こんなところにエネルギーがあるんだと驚きの連続でした。

 1月21日に開催した公開ワークアウトも、都心から少し離れた大森のゴールドジムに10日間で400人を集めなければなりませんでした。しかし、いきなり、400人、集まってしまいましたからね。

 1つ1つパーツが落ちていて、それをつなぎ合わせるだけで、ものすごいエネルギーに変わることを実感しました。これが、日本における格闘技の伝統であり、価値だと思うのです。それを否定するのではなく、大事にしていく必要があると思います。ONEの考えは、海外からやって来て、興行をやって帰るというものではありません。

 今回のイベントでは「新時代」という言葉を使っていますが、過去を否定して新しい時代を作るという否定論ではなく、肯定論として、一緒に新しい時代を作ろうよと意味を込めています。情熱や魂を1つ1つ結集することによって化学反応を起こしましょう。きっかけはONEですが、ONEがすべてではない。ONEがすべて変えていくという発想ではありません。

――1月の公開ワークアウトの熱気はすごかったですね。 

 はい。それは一部分でしかありません。極論ですが、ONEとは違う団体が盛り上がっていただいていいのです。もっと広く、格闘技以外のスポーツが、この刺激を受けて、盛り上がってもいいのです。アイデアや要素、成功の秘訣を1つ1つ提示して、刺激剤としてスポーツ界を活性化させるのが、我々のミッションであり、我々の大前提です。

 個人的な思いでもあり、信念ですが、ONE単体ではなく、業界全体として刺激し合いながら潤っていく仕組みができれば、ミッションは達成できるのと思います。むしろ、達成しなければいけないと感じています。逆にいうと、ONEはそれくらい勢いを増している団体であり、実績をつくってきた団体です。

 ゼロから作り上げて、どんどん国境を超えて大きくした競技団体は日本にはない。ONEが これだけのダイナミックさをもたらしたことを日本としても素直に学ぶべきだと思います。日本というマーケットでもっと活用できる仕組みやきっかけを提供することは、最終的にはONEに跳ね返ってくる。それは確信しています。

画像2: 伝統が崩れるときは古いしきたりが一人歩きして、 システムが稼働しなくなる。そこに必要なのが新しいアイデア、イノベーションであり、それがONE。

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