多くの五輪メダリストを育てた伝説的なランニングコーチ、アーサー・リディアード。彼のトレーニング理論をリディアード・ファウンデーションの橋爪伸也氏にひも解く。※『ランニングマガジン・クリール』2017年5月号から2018年4月号まで掲載された連載を再構成しました。

上の写真:1992年バルセロナ五輪で銀メダルの有森裕子氏のコーチで、リディアードのファンでもある名伯楽・小出義雄監督(写真左=当時リクルート)と筆者

翼が生えたような走り

 すべてのトレーニングの歯車がうまく噛み合い、目標としていたレースの日に、ドンピシャリでピークがきた――。1992年バルセロナ五輪の女子マラソン銅メダリスト、ロレイン・モラー(ニュージーランド)は、自ら体験したそのときの走りをこのように比喩しています。

「あたかも、足に翼が生えたような走り」

 彼女に限らず、そのようなときというのは、例えば5㎞のレースで自己記録を1分から1分半縮めることも稀ではありません。

 では、そういうレースをした後、あるいはレースシーズンが終わった後は、どうしたらいいのでしょうか。オススメするのは、身心ともに休息を取ることです。

 リディアードは、シーズン後の2週間を「体というよりも心のために」、休息として軽くジョグするのみにとどめておく、ということを広く奨励していました。

 その後はまた、ピラミッド(下の図参照)の「有酸素能力の発達のための走り込み」から始めるわけですが、このリスタートした段階で、あなたは新しい自分、「進化したあなた」になっています。

画像: 翼が生えたような走り

 例えば、前のシーズンで5㎞を20分で走っていたとすると、新シーズンではロングランをキロ5分半で走れていることでしょう。リディアード・トレーニングの1サイクルを終えて、5㎞の自己記録を20分から19分に更新したとしましょう。そうすると、ロングラン・ペースはキロ5分10秒となり、同じ2時間内に走れる距離も21㎞から23・5㎞へと、長く走れるようになります。

 一般的に「ロングラン」は有酸素運動であるべきです。ですから、「無理矢理に速く走ろう」として、有酸素と無酸素の境界線(LT)を越えてキロ20秒のペースアップをしたわけではありません。つまり、「自然な進歩」なのです。またそれによって、3時間走であれば32→36㎞に達し、マラソンの準備トレーニングをするにあたっても、より充実した練習ができるようになるのです。


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