元レスリング選手の杉浦貴がプロレス転向9年目にGHCヘビー級王座初戴冠を果たした。オリンピック出場を果たせなかった男が、新たな夢を成就させた。
2009年12月6日、NOAH武道館大会のメインはGHCヘビー級選手権試合〈王者〉潮崎豪vs 杉浦貴〈挑戦者〉だった。同年、潮崎は三沢光晴さんと「グローバル・タッグリーグ戦」を制覇。キャリア5年でGHCヘビー級王座初戴冠を果たし、三沢さん亡き方舟のエースとして悲しみの中で闘い続けてきた。
一方の杉浦は新日本1・4東京ドームで殺伐としたファイトを見せ、その後も新日本との対抗戦で存在感を発揮。潮崎がNOAHを支えている間、NOAHの凄味を外で表現してきた選手である。
そんな2009年のNOAHを内外で盛り上げてきた潮崎と杉浦による頂上決戦だ。互いに遠慮なし、妥協なし。極限状態での根競べ。旗揚げ10周年を前にして、NOAHでデビューした2人が、三沢さんが急死した同年最後のビッグマッチのメインを務めるという意味合いもあった。