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2021-09-28

【陸上】大迫傑「言い訳をつくれる環境を捨ててオールダイブするのがかっこいいと思った」

リモート取材で東京五輪のレース、そして近況について語った大迫

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東京五輪男子マラソンで6位入賞を果たし、現役生活にピリオドを打った大迫傑が9月28日、オンライン取材に応じ、現在の心境を語った。

 現役ラストレースとなった札幌での東京五輪のレース後から約2カ月。1カ月のオフも含め、自身が展開する育成事業「Sugar Elite Kids」(シュガーエリートキッズ)で全国を回っていたという大迫は、現役を終えた心境をあらためて問われると、「終わった実感がない。いつもマラソンが終わって1カ月くらい休みを取るので、その延長線上という印象があるのと、ありがたいことにシュガーエリートの活動などで忙しくさせていただいている」と、返答。東京五輪のレースについては「(レース後の)インタビューで力を100%出し切れたと言った通り、あまり振り返る時間がなくてもそこは言い切れる」と完全燃焼したことを改めて強調した。

 現在、30歳。ファンや関係者からは早すぎる引退を惜しむ声が多いなか、東京五輪を現役最後のレースにすることを考え始めたのは2年ほど前からといい、「最終的にはレースの3~4週間前」と言う。その理由については、「やはり東京オリンピックは大きな大会。そこに向けて全力を尽くす、言い訳をつくれる環境を捨ててオールダイブする(すべてを注ぐ)のがかっこいいと思ったのがひとつ。また、アメリカに行ったり、ケニアに行ったり、日本の方々と話をするなかで、陸上というフィルターを通して(競技以外で)いろいろできるのではないかと思うようになり、ここでやめるのが一番きれいなんじゃないかと決断した」と説明した。

 大迫は2016年リオ五輪後(5000m、10000m出場)にマラソンへ移行。初マラソンとなった翌17年4月のボストンマラソンでいきなり3位に入り、「マラソンランナーとして自信を持てた」。その後、18年10月のシカゴマラソン、20年3月の東京マラソンで日本記録を2度更新し、東京五輪6位入賞を果たした。

 そうしたマラソンランナーとしての成長は自身のたゆまぬ努力はもちろん、自身が契約するナイキ社のシューズの進化とともにあった。

「(ナイキの厚底シューズの先駆けとなった)ヴェイパーフライ4%が出たころに自分もマラソンを走り始めたのは、ストーリーを感じます。薄底シューズでも100年前のシューズより今のシューズの方が進化していますし、選手のパフォーマンスについても同じだと思います。ただ、あれだけシューズに注目が集まったのは、当時はナイキが一強だったからではないかと思います」

 今まで着用したシューズで最も印象深いのは、初めて日本新記録を出したシカゴで着用したヴェイパーフライ4%フライニット。

「こんなニットな素材を使うのかと驚きましたが、それで日本新を出せましたし、一番好きでしたね」

 今後は自身が立ち上げた新法人・株式会社Iの代表取締役として、これまで取り組んできたSugar Elite、アスリートのマネジメント、陸上競技やスポーツを通して地域活性化を図るなど、多角的な事業を展開していく。そして日本陸上界の発展のためにも、自らアプローチしていくという。

「世界で戦うためには、速い人、結果を出している人同士が集まれる場が必要だと考えています。ひとりでやることには限界がある。みんなにできることは、枠を超えてみんなで強くなること。互いにモチベーションになって、質の高いトレーニングをしていく場が必要だと思います。コーチングもしていきたいけど、そうした高みを目指す選手の集まれる輪をつくれるようになれば」

 大迫傑の新たな挑戦が始まる。
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