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2021-09-15

【陸上】東京五輪・男子3000m障害物7位の三浦「世界のトップに立ちたい」

三浦は今後、海外のレースにも積極的に参加していく予定だ(写真/幡原裕治)

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東京五輪で男子3000m障害物(SC)49年ぶりの決勝進出を果たした、順天堂大学2年の三浦龍司。偉業を成し遂げた19歳は、すでに次の目標に向けて走り始めている。オリンピック後、初のレースは、9月17日から始まる日本インカレ。パリ五輪に向けた戦いが始まる。

決勝のレースで感じた力の差

 「8分一ケタという目標をこんなに早く達成できるとは思っていなかったので驚きはありましたし、決勝の直後は入賞できてもちろんうれしかったです。ただそれ以上でもそれ以下でもなく、自分のなかではもう消化した感じです」

 東京五輪で日本男子3000mSCの歴史を大きく塗り替えた三浦龍司。予選で樹立した8分09秒92の日本記録と決勝7位の結果という偉業を大会後に振り返ることはないという。しかし東京の大舞台で踏んだ2本のレースはこの19歳の潜在能力と可能性を存分に見せつけるものだった。

 予選前、三浦は「“海外仕様”のレースになったら勝負できないと思っていた」と考えていたという。彼のいう“海外仕様”とはスローで入って、ラストで爆発的にペースが上がる展開を指す。そうではなく比較的、イーブンで進む“国内仕様”のレースに持ち込んでこそ予選突破につながるとの思惑から三浦は序盤から前に出て、ハイペースでレースを動かした。すると海外勢がそれに反応。狙いどおりの展開になった。とはいえ最初の1000mの先頭の通過は2分42秒台。三浦が過去、経験したことのない突っ込み方だった。

「速いですけど、一人で引っ張ったわけではないですし、障害の脚も合っていて、うまく入れたと思います。それにそこからは海外勢が前に出ると思っていたので、ついていけばいいと思っていました。確かに速かったですが、心理的な余裕はありました」

 以前から長門俊介監督は「1000mを2分45秒かそれを切るくらいのペースじゃないと三浦は障害で脚が詰まってしまう。海外の有力選手と走るオリンピックはペースが上がるでしょうから彼の力がより発揮できるはず」と話しており、8分10秒を切る力はあると見ていた。とはいえメジャーな国際舞台は初出場。そこで並み居る海外勢相手にレースをコントロールして見せた力は驚異的だ。この序盤で自ら流れを引き込んだことが日本記録の更新、そして予選突破につながったことは間違いない。

 決勝でもスタート直後からスローに感じ、1周目の終わりから前に出た。しかし予選のようにほかの選手を巻き込めなかった。そして一気にペースが上がるタイミングで世界の力を痛感する。

「1000mからペースが上がるところで、周りに合わせられず“うわーっ”と思っていました。瞬発的に離されるのではなく、ジワジワと離されたされたところに力の差を感じましたね」

 1000mから2000mの走り方は三浦が日頃から課題として感じている部分。決勝ではここでペースが上がった。とはいえ三浦は冷静に自分のポジションを確認しながら、入賞を狙える位置で粘る。そして最後の1周、フィニッシュまで200mを切ってから得意のスパートで順位を上げてみせた。力の差を感じながらも手にした7位の価値は大きい。

3000mSCを極めて世界で戦う

  東京五輪の経験を経て、三浦は「3000mSCを極めたいという思いがより強くなりました。いつか世界のトップに立ちたいと思います」とこの種目への意欲が強まったと話す。世界で戦える手ごたえを得ると同時に、このハイレベルな舞台で安定的に強さを発揮するワールドクラスの選手たちの強さを感じたことも収穫だ。

「ただパリオリンピックを目指す身としてはもう“海外仕様のレースでは負ける”というのは言い訳になるので、その克服をしていかないといけませんね」

 来年は海外のレースにも積極的に参戦する予定があり、世界レベルでの戦い方を磨く。もちろん走力の向上も必須だ。長門監督は「在学中に5000mの日本記録を更新できるレベルまでいく必要があります。それも5000mのための練習ではなく、3000mSCを強化するためのトレーニングで出さないと」ともくろんでいる。

 東京五輪後、初戦となる日本インカレ3000mSCは9月19日に行われる。ここから三浦の世界トップを目指す戦いが始まる。

文/加藤康博 写真/幡原裕治

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