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2022-01-07

【しゅりんぷ池田のカード春秋】FUSIONカードで2021年を振り返る

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現役選手がレギュラーシーズン中に樹立した記録をピックアップし、
同種の記録を持っていたOBと併せてカード化するというのが、
FUSIONカードの基本コンセプト。2021年は新人の活躍が光りました。


 2021年シーズンで目立ったのは新人選手の活躍です。特に佐藤輝明は「長嶋茂雄以来となる新人選手の1試合3本塁打」「田淵幸一の球団新人記録を更新する25本塁打」、栗林良吏は「河内貴哉の球団記録を更新する開幕から22試合連続無失点」「大野豊の連続試合セーブの球団記録を更新する20試合連続セーブ」、牧秀悟は「サイクル安打」「従来の記録を更新する5打席連続二塁打」と、それぞれ2つのテーマでカード化されたのですから立派です。

 奇しくもセ・リーグの新人王を争う3人なのですが、返す返すも佐藤輝の途中失速が残念です。1969年の田淵は81安打、22本塁打、打率・226で新人王に輝いたのですが、それを上回る101安打、25本塁打、打率・238の成績を残しながら、佐藤輝は受賞できないかもしれないのです。

 栗林と牧の比較は難しいところですが、個人的にはプロ野球80余年の歴史の中で初めて「新人選手によるサイクル安打」「5打席連続二塁打」をマークした牧のほうにインパクトを感じますが、どうなりますでしょうか。

No.41 栗林良吏(広)
No.41 栗林良吏(広)

No.94 牧 秀悟(De)
No.94 牧 秀悟(De)


 一方、OBでも複数のカードに登場しているのが80年の新人王&MVPの木田勇です。今季、伊藤大海が23イニング連続奪三振をマークしましたが、これは80年の木田に並ぶ新人記録。さらに、早川隆久がシーズン途中に6連勝をマークしますが新人左腕のそれは、80年に木田が8連勝して以来ということで2種のカードが制作されました。

 ルーキー選手の活躍で41年前の木田の記録が掘り起こされたわけですが、今後も新人投手が記録を作るたびに同氏の名前がクローズアップされるのではないでしょうか。

No.16 木田 勇(日)
No.16 木田 勇(日)

 さらに、21年シーズンに特徴的な記録というと、「延長なし」という特別ルールが採用されたことで引き分け試合が多発したことです。チームのシーズ
ン最多引き分けは82年の中日の19試合だったのですが、今季は引き分けが20試合を数えたチームがソフトバンク、日本ハム、巨人と3球団もありました。

 そして、あまり知られていないのですが投手の成績には勝敗以外に「引分」があるのです。引き分け試合の最後に投げた投手に記録されるのですが、これまでのシーズン最多記録は78、80年の江夏豊、82年の牛島和彦、12年の藤川球児の11でした。ところが、今季、益田直也がこの記録を更新。シーズンの引分を18としたのですが、これは21年同様の特別ルールが適用されない限り更新不可能な記録となりそうです。

No.55 益田直也(ロ)
No.55 益田直也(ロ)

 また、今季パ・リーグの盗塁王が24個で決し、和田康士朗、源田壮亮、荻野貴司、西川遥輝の4人がタイトルを分け合ったことにも驚きました。24個というのは93 年のセ・リーグで緒方耕一と石井琢朗が同じく24個で分け合って以来史上最少の個数。この数の少なさゆえに、ほぼ代走専門である和田が盗塁王となれました。なにしろ、24個中21個が代走での盗塁で残り3個も途中出場から決めたもの。この盗塁の少なさを嘆くべきか、異色の和田のタイトル獲得を喜ぶべきか……。

TH11パ・リーグ盗塁王
TH11パ・リーグ盗塁王

 22年シーズンは、どんな記録が飛び出すでしょうか。楽しみです。
(週刊ベースボール2021年12月27日号 掲載記事再編)

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