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2021-12-22

「ジャンボ鶴田の怪物性は闘った者でないとわからない」“狂虎”タイガー・ジェット・シンが語った日本人プロレスラー十傑<2>【週刊プロレス】

ジャンボ鶴田vsタイガー・ジェット・シン

 前回に続いて、狂虎のトップ日本人レスラー評。こう並べてみると、あらためて多くのレスラーと闘ってきたと感じられる。スタイルを変えることなく闘ってきたタイガー・ジェット・シンだけに、これらの言葉を組み合わせていくことで、日本人トップレスラーのランク付けができよう。
※週刊プロレス2011年3月9日号/No.1567号掲載。

<ジャイアント馬場>
“ジャイアント”を名乗るレスラーは世界中にたくさんいるが、ババは本当の意味でジャイアントだった。体が大きかったのはもちろん、心の部分もそう。ジャイアントハートの持ち主だ。
 レスリングに関していえば、あれだけ大きい体だったにもかかわらず、動きが非常に速かったのを覚えている。それにとにかくタフだった。フレッド・アトキンスに鍛えられたのだから、強くて当然といえるが、それにしてもババほど大きくてタフなレスラーはいなかった。彼ほど大きな選手と闘った経験は少なかったので、私としても闘いづらかった。
 ただ、ババはリングを下りるととてもジェントルマンだったことをよく覚えている。だから、彼が亡くなったと聞いた時は驚いたし、とても悲しかった。

<ジャンボ鶴田>
 ジャンボ・ツルタほどファンタスティックなレスラーはいなかったな。体も大きいし、テクニックも素晴らしかった。さらにタフでもあり、ハートもあった。レスラーとして必要な要素すべてを兼ね備えていた男だった。
 彼と対戦したレスラーならわかると思うが、こちらが攻撃してもどれだけ効いているのかわかりづらい。怪物といわれていたが、まさにその通りだった。ツルタの本当の強さは、闘った者でないとわからないかもしれないな。

<長州力>
 チョーシューはオリンピックスタイルの素晴らしいレスラーだ。アマチュア・レスリングのテクニックをベースに持つ力強いレスラーだったが、ツルタとは大きくタイプが異なっていた。
 彼とは東京ドーム(1991年3・21)で闘ったことを覚えている。凶暴でとてもタフな闘いだったが、そこで私に勝ったのだから、彼はとてもストロングなレスラーだったんだろう。あと、ハードなトレーニングを積んで、常にグッドコンディションをキープしていたのが印象に残っている。

<輪島大士>
 ワジマはストロングだった。彼のデビュー戦(1986年11・1七尾)の相手をしてから何度も闘ったが、どんなに痛めつけても彼はギブアップしなかった。決して若くなかったけど、相撲のグランドチャンピオン(横綱)だっただけのことはある。はっきり言ってレスリングテクニックは感じなかった。イシカワも(石川敬士)も似たタイプだったが、彼の方がワジマよりテクニックがあった。ただ、その分だけワジマとの闘いは、いつもケンカのようになった。

<大仁田厚>
 オーニタはほかのレスラーと違う強さを持っていた。彼と横浜スタジアムで闘ったとき(1991年9・19、電流爆破時限爆弾デスマッチ)、私も60針縫った。その前に、観客のいないところでも闘ったな(同年6月30日、関ケ原)。激しい雨が降っていて、なんでこんな悪天候なのに中止しないのか、最初は理解できなかった。しかし、そこが歴史的な闘いがあった場所だと聞いて納得した。
 何度も闘ううちに、彼はどんなに危険な試合でも、体を傷つけられても逃げないタフな男だということがわかった。
(おわり)

橋爪哲也

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