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2022-02-09

坂口征二の代名詞となっていった王座とは? 新日本プロレス歴史街道50年<10>【週刊プロレス】

坂口征二

 IWGPがタイトル化されるまで、新日本プロレスが管理・運営していたのは先のNWFヘビー級以外は、NWA北米タッグ、NWF北米ヘビー級、WWFジュニアヘビー級、同北米ヘビー級、同インターナショナルヘビー級、同インターナショナルタッグ、アジアヘビー級、同タッグ。藤波辰巳(当時)がジュニア王者として凱旋帰国するまで、ナンバー2の王座として認識されていたのが北米タッグだった。
     
 北米タッグが新日本プロレスに定着したのは、1974年8月。アントニオ猪木&坂口征二がロサンゼルスでクルト・フォン・ヘス&カール・フォン・ショッツを破って持ち込んだもの。その後、新日本が管理・運営していた時期の歴代王者は、猪木&坂口、ハリウッド・ブロンドス(ジェリー・ブラウン&バディ・ロバーツ)、坂口&ストロング小林、タイガー・ジェット・シン&上田馬之助、ヒロ・マツダ&マサ・サイトー、坂口&長州力。1981年4月、IWGPの理念に賛同して返上・封印されたが、この変遷を見れば坂口のための王座だったことがわかる。

 1973年3月、日本プロレスを離脱し、猪木に次ぐナンバー2として新日本に合流した坂口。しかし、シングル王座を獲得したのは1979年1月。ジャイアント馬場がUN王座復活を働きかけて後継者であるジャンボ鶴田に巻かせたのが1976年8月だったことを考えると、遅すぎた感は否めない。

 むしろ同一団体にシングル王座が2つもあると、日本プロレス時代に猪木が馬場に挑戦表明したように対立してしまうことを危惧したからだろうか。それもあって坂口はタッグ王座に腰を落ち着けていた。ここにも控えめな坂口の性格が表れている。

 さて、ロサンゼルスで猪木&坂口の黄金コンビが同王座に初挑戦したのは1973年8月24日(現地時間)、王者チームはジョニー・パワーズ&パット・パターソンだった。しかし当時、両者が主戦場にしていたのはパワーズが五大湖周辺にオハイオ州クリーブランドで、パターソンが西海岸のサンフランシスコ。タッグチームとしてサーキットしているとは考えられず、タイトルマッチに合わせて組んだ即席タッグだった。

 北米タッグと冠された王座は、実は新日本がロスのプロモーター、マイク・ラーベル氏と図って立ち上げたもの。今でこそ日本の各団体が王座を認定しているが、当時はまだお手盛りの王座では権威を得られなかった時代。プロレスの本場である米マットのタイトルとして設立された。

 ここまでお膳立てされただけにすんなりベルトを奪取すると思われたが、2-1で勝利したものの3本目が反則勝ちだったため王座移動は認められず。結果、4度目の挑戦でようやくベルト奪取。猪木がジョニー・パワーズから一発でNWFヘビー級王座を奪取したのとは対照的に獲得までに手間取ったことが、猪木と坂口の実力差を浮かび上がらせることになった。

 その一方で同王座をめぐっては混乱も生じていた。一つはNWA認定とされたこと。黄金コンビが再三に渡って挑戦していた当時、新日本はまだNWAが加盟が認められてなかった。さらにヘス&ショッツがベルトを手に来日した際、パンフレットでは北米タッグではなく、NWF世界タッグ王者として紹介されていた。また、パワーズ&パターソンからベルトが移動した経緯も不透明。しかし、そんなことに目くじら立てることのない時代でもあった。

(つづく)

橋爪哲也

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週刊プロレスNo.2166(2022年2月23日号/2月9日発売) | 週刊プロレス powered by BASE

今週号の表紙はスターダム後楽園のメインでなつぽいとの30分熱闘ドローでハイスピード王座を防衛したスターライト・キッドです。名古屋ビッグマッチ3日後におこなわれた大会でも次なるビッグマッチへの流れが多く生まれてます。名古屋に続き登場したプロミネンスの世羅&藤田と朱里&テクラが次回後楽園でタッグ対決決定など急展開。そのほかの試合も含めてリポートします。巻頭カラーは2週間ぶりに試合を再開した新日本の幕張大会。IWGP世界ヘビー級王者・オカダとの前哨戦を闘った内藤が、その後のプランなども明かしています。またIWGPタッグ王者の一人、YOSHI-HASHIにインタビュー。デビュー13年で初めてIWGPの冠を取った気持ちなど聞いています。この時期毎年恒例バレンタイン企画「女神たちの告白」。ビジュアル派女子レスラーにバレンタインの思い出、理想のタイプなどを聞く人気企画。今年は6人の女子選手を特写。昨夏にコロナ重篤化で倒れて半年。奇跡的回復を成し遂げた日本プロレス界の名物リングアナウンサー、田中ケロさんを仕事復帰後初インタビュー。命の危機から仕事の現場に戻ってくるまでの半年間を赤裸々に語ります。そのほかドラゲー後楽園、全日本・大阪、DDT沼津、GLEAT大阪、大日本・後楽園、FREEDOMS後楽園、天龍プロ新木場、東京女子・両国、アイスリボン・蕨、wave新木場など掲載。【注意】発送後の返品・返金は原則不可とさせていただきます。送料は無料ですが、第三種郵便での発送となります。通常2~4日でのお届けとなります。また、事前に購入されても発売日にお届けすることは、お約束できません。ご了承ください。

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