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2022-03-11

【陸上】東京マラソン日本人トップの鈴木健吾がレースを回想「(世界との差を埋めるには)地道に積み重ねていくことが大切」

東京マラソンで第一人者の実力を証明した鈴木 写真/Nike

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3月6日に行われた東京マラソンで日本人トップの4位に入った鈴木健吾(富士通)がオンライン会見を開き、改めてレースについて振り返った。

鈴木は自身が1年前のびわ湖毎日マラソンで樹立した日本記録(2時間04分56秒)に次ぐ2時間05分28秒、日本歴代2位の大迫傑(Nike)の記録を1秒上回る走りを見せたが、レースに向かうに当たっては決して調子がよくなかった。

「ニューイヤー駅伝(1月1日)までは距離が多めの駅伝向きの練習だったのですが、その後、終わったらあまり調子が上がらず、マラソン練習に切り替えることができませんでした。1月の中旬から少しずつ調子が上がっていったのですが、2月に入ってからはヒザが気になる状態が続いていて、1週間以上走れない時期もありました」

そうした苦しい状況を乗り越え、好走に結びつけたのは、周囲の支えだった。チームのスタッフ、トレーナーに自分の気持ちを伝えることで少しずつ前向きになれるように心掛けたこと、そして女子で日本人トップの6位に入った妻の一山麻緒(ワコール)とともに、夏のオレゴン世界選手権出場を目指していたことをモチベーションにして、大会に向かってきた。

「妻と一緒に二人で(世界選手権に)出るという目標を立てていたので、不安な状態ではあったけど、スタートラインに立つことができました」


東京マラソンでは一山とともに夫婦そろって日本人トップに 写真/中野英聡

本来なら、優勝を果たした世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ(ケニア)を中心に形成された第1集団に付きたかったが、今回は自身の状態を考慮。世界選手権代表入りを優先目標として第2集団に付いたが、そのなかでも、25kmすぎで一人抜け出し、フィニッシュまでほぼ単独走で押し通し、強さを感じさせた。現状を見極めたレースプランで今持てる力を発揮した結果だったが、終わってみればやはり悔しさが残った。

「ふたを開けてみれば今回も世界のトップと3分以上の差(優勝タイムは2時間02分40秒)、自己ベストでも世界記録とも3分以上の差があります。まだまだ世界と戦えないんだなと感じました」

とはいえ、その差を一気に埋めることはできない。鈴木は焦ることなく、今後も「自分の力を過信せずに、地道に少しずつ積み上げていくことが大切だと思います」と、決意を新たにした。

今回の結果で、夏のオレゴン世界選手権日本代表入りに大きく近づいた鈴木。正式に代表に内定すれば、「今回は第1集団に付けませんでしたが、前で勝負できるよう、積極的な走りをしたいです」と抱負を語る。

2年後にはパリ五輪も控えている。

「時間があるようであまりないですが、それまでに想定外のことも起こる海外のレースなどで経験を積んでいければ。強くなって、オリンピックでメダル争いができるように頑張っていきたいです」

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