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2022-03-17

「本当はやりたくない、けど…」両国国技館での最初で最後の姉妹対決に向け、妹・愛野ユキが姉・天満のどかへの思いを語る【週刊プロレス】

妹・愛野(右)と姉・天満

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 2018年5月のデビューから、天満のどかと“爆れつシスターズ”としてタッグを組み続けている愛野ユキ。プロレス界には「シスターズ」と付くタッグ名は数多くあるが、この2人は正真正銘の姉妹だ。だからこそ、これまでタッグが決裂することもなかったし、どのコンビよりも絆が深いのは当然だ。

 ただ、姉の天満が両国国技館翌週の3・26大手町で卒業することを発表。これに伴い、約4年間一緒に闘い続けた爆れつシスターズのリング上で闘う姿ももう見られなくなってしまう。

 そして、今回の団体初となる3・19両国国技館大会――。この大舞台で2人は、タッグではなくシングルとして激突することになった。これは天満の発言から実現したもので、これまでタッグマッチなども含めて2人は一度もリングで対峙していない。仲良し姉妹だからこそ避け続けていた対戦。そんな感情が入り乱れる一戦へ、妹の愛野がいまの思いを語ってくれた。


――両国で姉との一戦が決まりました。

愛野 いままで「お姉ちゃんと闘ったりしないの?」って聞かれたら、私は「嫌です」って答えてきたんですけど、お姉ちゃんはそれに「嫌です」って言ってることはなくて。だから(両国で)タッグタイトルに挑むっていう道もなくなったし、言われるならこのタイミングだろうなっていうのはなんとなくわかってはいたので。なんていうか…やっぱ、そう来たかって思って。避けたいけど、逃げられないなってかんじですね。

――そもそも、なぜ闘いたくなかったのでしょう?

愛野 お姉ちゃんって子どもの時から私の一番の憧れの存在で、ヒーローだったんですよ。そのお姉ちゃんの背中を見続けてきて、いまの私があるので。自分にとってのヒーローと闘いたくはないなって思ってたんですけど…もう闘うってことができるのもあとわずかなわけで。それをやらないと後に残るので、腹をくくらなきゃいけないなって。

――ヒーローとして憧れていた部分とは?

愛野 姉妹の話みたいな話なんですけど、私は何かやりたいなって思っても、自分ができる気がしないし、自信がない。それで失敗したりするのも嫌だしって考えで。だからなかなか興味のあるものに対しても踏み出せないタイプだったんです。なんですけど、お姉ちゃんはどんどんやりたいこと、興味あることはいったんやってみるというか、進んでいける人で。そういうところでお姉ちゃんがやってて、私がやりたいって思っててやれなかったこともけっこうあるんです。ミュージカルだったり、音楽だったり。っていうのと、お姉ちゃんはホントに誰に対しても優しくて気が回るんですよ。そういうところがずっとすごいなぁって思って来たので。そこまで気を遣わなくてもいいんじゃない?って気が付くんですね。おもてなし精神がすごいというか。そういうところでもすごいなって日々思ってます。

――昔から姉と比べられることは多かったのですか?

愛野 比べられましたね。けど比べられると、私がいいように言われたりするんですよ。ピアノを習ってたんですけど先生に「うさぎでカメ」だってよく言われてて。お姉ちゃんがうさぎで、私がカメで。「ユキの方がコツコツとやっていける」って言われてきたんですけど…私はやらないとできないからやるしかなかっただけで。お姉ちゃんは最初から割と器用にできるんです。で、私が追いつくころには違うものの方に向かってたりするんです。勉強とかは私の方ができたんですけど、私がやりたいのは勉強じゃなくてお姉ちゃんがやってるようなことがやりたかったので。褒められても、それを純粋に喜べなかったです。まさにいまプロレスラーとして2人ともイチ選手になってから同じように思うことがいっぱいあります。ホントにすごいのはお姉ちゃんなのになって。私は別にすごくないです。

――姉と別の道に進もうとは思わなかったのですか?

愛野 私がずっとお姉ちゃんのやることを見て育ってきたからか、好きなマンガとかアニメとか音楽とかもだいたい一緒だし。だから、結局やりたいものも一緒なんですね。だから、必然的にってかんじですね。

――両国大会では初めて対戦しますが、勝敗は重要視するのでしょうか。

愛野 どうなんですかね。私は闘いたくないって言っておいてあれですけど、一番の憧れであるってことは、ずっと子供の時から一番超えたい人でもあるわけですよ。一番の目標っていうか…。だから、やっぱりそこは越えていきたいですよね。辞めていく奴なんかに負けてられないぜ!ってかんじです(笑)。

――殴り合うのも初めてですが、そのあたりの躊躇は?

愛野 ホントに初めてで、ちょっと怖いです…。子どもの時から喧嘩は日々するんですよ。そういう時に私は割と口が達者な方なんですけど、お姉ちゃんは手が出るんですね。本人は全然力入れてないつもりで、ちょっと小突いただけってテンションなんですけど、だいぶ強いんですよ(笑)。普通にふざけてる時とかもめっちゃ強くて、彼女のパワーが強いことはよく分かってるんです。だから、リング上ではもっとすごいんだなって。私はやり返すことタイプではないので…根が喧嘩っ早くないというか。だからリング上でやるからには絶対に超えていきたいなって思ってはいるんですけど、どこまで自分が燃えて熱くなれるのかっていうのが正直分からなくて…。それが勝つためにも不安だし、全力で闘いたいので。とにかく、それができるかっていうのが不安です。

――姉の卒業後は1人になります。

愛野 これは本当にマジで想像が付かないです。愛野ユキって選手が生まれた瞬間からタッグパートナーがいたので。それが急にいなくなるっていうのが、想像が付かないですね。普段から常にタッグで闘ってるわけじゃないですので意外と平気なのかなとも思うんですけど…。タッグトーナメントとかあったらどうするんだろう?とか、そういった安易なことしか浮かばないです。

――昔からずっと姉の背中を追ってきたという言葉もありましたが、じゃあ自分も卒業しようとはならなかったのですか?

愛野 全然それはならなかったですね。お姉ちゃんから聞いた時には、嫌だな、寂しいなっていうのとともに家族でもあるので。そっか、頑張ってって思って。私はまだ岡山には帰らないけど、お母さんお父さんの近くにいてくれるなら安心だなとか。そういう風に思う部分もあったので…ある意味で安心というか。私はまだこっちでやってていいんだとか。

――両国ではどういった闘いをしたいですか?

愛野 私は大きい試合とかタイトルマッチとかの時、それまでにじっくり自分の中の闘志とか、テンションをどんどんあげて試合で爆発させるっていうかんじで闘ってきてるんですね。メンタル的なものとして。ただ、それが今回は今まで通りにはいかないので…。不安な部分もありますけど、でも絶対に後悔の残らない闘いにしたいなって思っています。

――最後に両国のリング上で姉に伝えたいことは何ですか?

愛野 お姉ちゃんに対してある憧れとか尊敬とか愛情とか感謝の気持ちとか、そういうものを全部、全部一つ残らず出し切りたい。両国では思いっきり自分の気持ちをぶつけたいですね。

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