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2022-04-12

アントニオ猪木を半世紀撮り続けたカメラマンが見た一番感動的な「ダーッ!」とは…“政治家”に特化した番組で語った“あの一瞬”【週刊プロレス】

“一番感動的だった”「ダーッ!」(撮影/原悦生)

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 このほど出版された「猪木」の著者、原悦生カメラマンが4月7日、在阪のABCラジオ「ますだおかだ増田のラジオハンター」にゲスト主演した。

 同番組のメインパーソナリティーでプロレスファン、いや“猪木信者”としても知られている増田英彦さんは番組冒頭から大興奮。オープニングから“プロレス話”全開で、この日のメールテーマを「私とプロレス」に指定したほど。真っ昼間に3時間ぶっ通しでプロレストークをするなど、ラジオとしては異例中の異例。自己満足で終わるかと思われたが、いつもより番組宛てに送られてくるメールの数は多く、からためて“隠れプロレスファン”、それも昭和のプロレスファンの多さを証明する形となった。

 原カメラマンが出演したのは、番組中盤の「これチョットどないかならんの会!」のコーナー。冒頭で増田さんは「学生時代から猪木さんに関する本はたくさん読んできましたけど、議員になられてからの猪木さんのことが書かれた本を読んだことなかったなぁって思って。議員時代の話とか外交で海外に行かれてた話を興味深く読ませていただきました」と感想を述べた。そして「読んでて思ったのは、いま猪木さんが議員されてたらロシアに行ってたんじゃないか?」と切り出すと、原カメラマンも「(ロシアかウクライナか)どっちかわかりませんけど、行ってたと思いますね。とにかく動く人ですから」。

 そこで設けられたテーマが、「日本の外交問題、アントニオ猪木ルートでどないかならんのかい!」。

 イラク、北朝鮮、ロシアへの訪問を振り返る形でトークは進行。原カメラマンも「身を削ってるような感じでしたね。日本政府がまったく相手にしなかったイラク問題にしても親身になって、体を張って現地に行きましたからね」と、猪木のそばにいたからこそ見た“現場”を振り返る。

 イラク問題ではイラク大使と会談して中国から帰国した会見の模様を増田さんが再現。「政治家であろうと総理であろうと、人間の心を失ったものは飛ばしてやる!」の発言は現在なら大炎上必至。実際、その言葉尻をとらえて問題視された部分もあったが、会見の現場にいた原カメラマンの目には「その言葉の一部分を取り出して否定した人もいましたけど、その場にいた人はそんなに感じなかったと思います。発言したその瞬間は叩かれるっていうよりは“猪木、ほんとにこんなに考えてるんだ”っていう雰囲気でした」と証言。そして人質が解放された後にホテル、帰国便の機内で撮影された“一番感動的だった”(原カメラマン談)「ダーッ!」の裏話が披露された。

 総理でもなければ大臣でもない。ましてや国会議員1期目。政府の協力が得られない中で、人質解放に向けて大きく動いたのは、「アラブにはアラブの考え方がある。相手の文化を知らなければ何も解決しない」という、相手の懐に飛び込んでいく猪木ならではの“外交手腕”。

「まず最初に猪木さんがしたのはイスラム教に入ること。“平和の祭典”の会場などを決める交渉の場に同席した時に、猪木さんは『(人質の)奥さんや家族がバグダッドまで来たら、日本に帰してくれますか?』って言うんです。そしたらサレハ議長たちははっきりとではなかったけど『一緒に帰れますよ』ということを言ったんです。だから猪木さんは日本で人質の奥さんたちを『一緒にバグダッドに行きましょう?』と誘ったんです」

 このエピソードを聞いてこの日、同番組のアシスタントを務め、“ドーハの悲劇”で有名な1993年サッカーワールドカップ・アジア地区最終予選の取材でカタールに長期滞在していたABC伊藤史隆アナウンサーも、「アラブの事情、イラクとクウェートの関係など、行ってみなければわからないことがある」と同調。

 1995年、北朝鮮での“平和の祭典”にしても、猪木の頭の中には“拉致問題が少しでも進展するきっかけになれば…”との思いがあった。「横田めぐみさんのご両親から言われて動いたんだと思います」と原カメラマンも証言。「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」が結成される2年前、小泉純一郎総理が電撃的に北朝鮮を訪問する7年も前のことである。

「本気だったら、もっと俺を利用しろ」と日本政府に対して言いつけてきた猪木。原カメラマンも「猪木ルートって本当にあるんですよ」と語る。だが、残念ながら北朝鮮の拉致問題に関して、“猪木ルート”は使われていない。

 外交問題で身を削るように動く猪木の姿を見てきた原カメラマン。「レスラー時代からそういう考えはあったと思います。取り組むテーマは違ってましたけど、成功したかしなったかは別にして、食料問題とかエネルギー問題とかずっと考えていましたから」。

 レスラーでなく“政治家”猪木をクローズアップして語った番組は珍しい。その意味では“永久保存版”でもあった。

 なお番組の模様はradikoプレミアム(有料)のタイムフリー機能で14日15時まで視聴可能。

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