東京女子5・3後楽園大会にて、「マジカルシュガーラビッツ」の保持するプリンセスタッグ王座に初挑戦する乃蒼ヒカリ&角田奈穂の「ふりーWiFi」。比較的キャリアも年も離れている2人のタッグは未知なる部分が多く、気になることも多かったので話を聞いてみた。――角田選手はキャリア2度目のタイトル挑戦です。
角田 自分の中では最初はベルトに興味がない…というよりかは、「自分なんて」って思ってたんです。舞台とか役者の仕事もやってたし、その現状が自分にとっていいと思ってたんですね。だから前の団体でシングルのベルトができた時も自分が挑戦しに行きたいって思ったことが1回もなくて。でも(前の団体で)パートナーができて、後輩たちが他の団体でタッグのベルトを取るのとかを見てる時に「タッグでベルトを取るっていいな」って思って。なので、タッグに関しては執着はあったし、半分それを叶えられないまま(前の団体を)辞めているので。自分の精神的にはタッグベルトは「呪い」というか。
――そんな「呪い」に今回、初めて挑戦します。
角田 そうなんですよ。あんまりタッグって言い続けても、他のシングルのベルトとかに挑戦しづらい環境ができてしまうから、あんまり言わない方がいいよっていうアドバイスを貰ってたから、東京女子に来た時は言わないようにしてたんです。けど、そこで自分が信頼できるパートナーができて。タッグの試合じゃなくても、セコンドに誰かがいるって大きくないですか? 精神的に全然違うんです。それを知ってたからこそ、こっちに来てベルトが欲しいなって思ったから。なんていうか自分の中で、タッグのベルトは特別だし…うちらがピンクのベルトを巻いてたら、かわいいと思うんですよ。
ヒカリ 思うんですよ~(苦笑)。
角田 もちろんマジラビの2人もかわいいですよ。東京女子のタッグの顔ってマジラビだなって印象が強いし、あとは白昼夢とか美威獅鬼軍とか。自分の中では他の団体を合わせてもタッグのトップクラスだなって思うんです。ビジュアルも全部含めて。それくらい憧れがあるし、2人のこと好きだし…ちょっとめんどくさいけど(笑)。でも、ふりーWiFiはそこに食い込みたいなって思ってるから。
――お2人はキャリアや年齢など、割とデコボコのタッグです。
角田 私個人で言うと5月で8年目に入って。このキャリアやってて周りにベルトを持ったことがない人って、知り合いにはいないんですよ。言うてここでタイトルは2回目なんですけど、正直いまもコンプレックスになりつつあります。別に目にしなきゃいいことだし、エゴサしなきゃいいことだけど…「外に移動したわりに伸び悩んでる」とか「中途半端」って言われるので…いや、悔しいですよ。東京女子は試合数も多いし、甲田さんは「舞台の仕事優先していいよ」って言ってくれてるんですけど…特に東京女子は動きが早いから、自分がそこを逃したくない気持ちの方が強くて、今年上半期は全部舞台の仕事を断っちゃってるんです。タイミングさえあれば(舞台も)やりたいと思うけど、「この後楽園いないの嫌だな」とか思っちゃうので。だから、とにかくベルト取りたいですよね。もう35歳なんで(苦笑)。
ヒカリ 関係ない関係ない(笑)。
角田 東京女子は若い子が多いから、言われるんだよ。クソッ!て思いますよ(笑)。でも、割とお客さんと年が近いのは大きいですね。それでサイン会に来てくれる人もいるんですよ。ありがたいですよね。そういう人たちもいるからこそ、もうちょっと自分が(同世代の)希望になりたいです。若い子が好きな人は若い子を応援してください! タイトルマッチではそういう自分も見せたいですね。
――ベルトを取ることで、「呪い」から解放される部分も?
角田 どうなんですかね? 別に悪い意味だけじゃなくて。そこに執着してきた自分がいて、そこから離れられない自分もいるので。取ったから解き放たれるかは…分からないです。きっかけがそこだったから、ずっとそうなのかもしれないし。そこは自分が見たことのない景色なので、何も分かんないです(笑)。
――取ったことで、何かしらの変化は起こりそうです。
角田 じゃないですかね。だからって別にシングルに興味ないわけじゃないけど…難しいですね。
――ヒカリ選手にとっては、かなり年上のパートナーです。
ヒカリ ジェネレーションギャップはそんなに感じたことないですよ。11離れてますけど、そんなに気になったことはないです。でも試合の時とかに、自分がやりたいこととかを合わせてくれるので。お客さんからよく「奈穂さんがヒカリちゃんのやりたいことを尊重してくれてるね」って言われるんですよ。たしかにその通りで、私がやりたいことを奈穂さんがサポートしてくれてできてることが多いので。東京女子の中でハードコアをやりたいって夢を叶えてくれたのも奈穂さんだったので、すごい嬉しかったし楽しかったです。いつか同じベルトを持ったタイミングで、またやりたいですね。
角田 やりたいね~。
――あのハードコアはタッグとしての関係性を強めましたか?
角田 なったのかなぁ。私的な感覚で言うと、あの時にはもう仲良かったから。むしろ遠慮なくやれた部分があって。見てる人の方が、あれがあったからこそいまの絆が深まったみたいに見てくれてるのかなって気はします。とにかくあのハードコアは楽しんでました(笑)。
――過去にいなくなってしまったパートナーは何人かいましたが、現在のタッグとはどう違いますか?
ヒカリ 最初にいたヒナノ(=ぴぴぴぴぴなの)に関しては、タッグパートナーではなくて、同じグループで仲がいいってかんじで。気付けば隣にいてくれた存在ですね。その後に組んだなつぽいは、自分が追いかけて追いかけて、どうにかこの人の隣に立ちたいなっていうことだけを考えて。それに寄り添ってくれてた、みたいなタッグでしたね。その次に組んだ汐凛(セナ)は…。
角田 歴史がすごい(笑)。
ヒカリ 汐凛は自分を追いかけてこの世界に入ってくれたので、半端ないプレッシャーは感じてました。シングルをするにもすごい心配だし、タッグを組んだ時は自分がきっちり勝ってあげなきゃって。組んだ時が2年目になったくらいだったので、まだまだ見たことない景色はあったと思うし。そういうところを自分が近くで見せてあげたいなっていう独占欲も働いてたし。お姉さんみたいなかんじで引っ張ってったのかなって思います。いまのタッグはホントに自由に好きなことをやるというか。何かを背負うわけでもなく、楽しければいいんじゃない? 怒られたら怒られたでその時考えよう、みたいな(笑)。変にプレッシャーがないというか。楽ですね。なので、いままでの中では一番「当たって砕けろ」精神でいけてます。
――ヒカリ選手は今回がタッグは3度目の挑戦ですね。
ヒカリ まだ1年目の時に未詩と新木場で挑戦して、その次はなつぽいと後楽園で挑戦して。その2つとも、相手がマジラビなんですよ。そこに関しては自分の中で意地になっている部分もあって。デビュー当初からユカさんに憧れてるって言い続けてて、ずっと組みたかったんですよ。けどそこは大人のストップが入って(笑)。私欲は出すなと。そのタイミングで瑞希さんと組んで、マジラビとして闘っていって。悔しいことは悔しいんですけど…ってなったら、あそこまで強いマジラビからベルトを取りたいんですよ。だから、マジラビにこだわって挑戦してきたっていうのはあります。
――過去2回の反省点は何かありますか?
ヒカリ 最後に挑戦したのが2、3年前なので、自分も変わってるし向こうも変わってると思うんですよ。でも、私はベルトを取ってチャンピオンになったこともあるし、一緒にハードコアをやって絆を深めたパートナーもいるし。ここをこうしたらいいというよりかは、いまの自分をぶつけて勝つことが一番なのかなって感じてます。こっちにもいいパートナーできたんだぞって。焼き餅じゃないけど憧れてる存在に近づくためには、同じ影をマネしないといけない部分もあるし、ユカさんにとって瑞希さんは最高のパートナーだと思っているので。私も同じように最高のパートナーを見つけたので、一緒に超えられたらいいなって思ってます。
――後楽園でもラフファイトを…?
ヒカリ なにかいたずらはしてやろうかなって。何が効くんですかね?
角田 分かんない。でも、マジラビがこれまで闘ってきたタッグとは違うタッグでありたいと思ってるし。私たちはまだスタートしたばっかりだけど、むしろ私たちとの経験がないからこそ未知はいっぱいあると思ってるんですよ。そういういたずらは増やしていこうと思うし、いまはそれを積み重ねている状態なので。誰もがふりーWiFiって試合は未知で、私たちの武器だとも思っているので。何されるか分かんないってどうぞ思っててくださいって気持ちです。9割やられてても1でひっくり返せるものは持ってると思うので。
――そもそも王者組は2人の挑戦表明を相手にしていなかったように見えますが…?
角田 …いえ? 二つ返事で快諾でしたよ?
ヒカリ 帰ったらもうツイッターに書いてありましたよ。大人の力ってすごいですね。大人にはいい電波が届いているんです。
角田 大人がいいって言ったらいいので。
――では、最後にあらためて意気込みを。
角田 ベルトっていうのも減の強い気持ちもあるし、プロレスラー人生としてはやっとタッグパートナーができて、タッグのベルトに挑戦できるので。自分たちはいま何があるか分からない、未知のタッグだと思ってるので。それを武器にして、ふりーWiFiが剥がしたいと思ってます。
ヒカリ 東京女子…5・3後楽園が終わったら、何か変わってるんじゃないですか? ふりーWiFiがきっかけで。私たちが団体の何かの風向きを変えるような試合をすると思うので、そこはめちゃめちゃ期待してほしいなって思います。東京女子の電波をジャックします!
角田 東京女子プロレスのロゴにWi-Fiマークを入れてもらいます!