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2022-06-02

【大学駅伝】現役時代から「世界」を意識し続ける花田勝彦氏が母校・早大の再興に着手「強い個人を育てることが三大駅伝につながる」

相楽豊前監督(左)からタスキを受けついだ花田新監督。相楽氏は今後、チーム戦略アドバイザーとして花田監督を支えていく

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6月1日付で早稲田大学競走部駅伝監督に就任した花田勝彦氏が2日、東京都内で会見を開いた。「拝命は大変光栄に思っています。OB・OG、多くの早稲田ファンがいますので、皆さんの期待に応えられるチームづくりをしたいと思います」と晴れやかな表情で抱負を語った。

花田新監督は早大在学中の1993年の箱根駅伝4区で区間新記録(当時)を樹立し、総合優勝に貢献。卒業後はエスビー食品で活躍し、トラックでは1996年アトランタ五輪(10000m)、2000年シドニー五輪(5000m、10000m)と2度、オリンピックを走り、マラソンでは1997年アテネ世界選手権に出場している。2004年に指導者に転じてからは上武大学を育て上げ、2009年から8年連続で箱根駅伝出場に導いた。2016年から実業団のGMOインターネットグループの監督を務め、2019年ドーハ世界選手権マラソン代表の山岸宏貴、2020年福岡国際マラソン優勝の吉田祐也を指導するなど手腕を発揮してきた。

「三大駅伝、特に箱根駅伝での結果を期待されていますが、私自身、強い個人を育てるのが大切だと思っています。早稲田からは大迫傑選手(Nike)以降、日本代表が出ていません。代表選手の育成は早稲田の使命だと思っていますので、そういった選手や、そこに近づく選手を6人、8人、10人と育てていくことが、出雲、全日本、箱根駅伝へつながってくると思っています」

就任は6月1日だが、4月中から早大に足を運び、練習を見てきた。

「チームを最初に見たときの印象は、能力はあっても競技に集中できていないと感じました。(就任前、見学に行った際には)故障者が半分以上いる状態で、ポイント練習ができるのが10人に満たないくらい。大変だなと思った一方で、選手と個別に話すと競技に対して熱いものを持っていたり、いろんなことを学びたい学生が多い。そういう意味ではうれしかったです」

6年間、実業団で指導する間に大学長距離界も大きく様変わりした。シューズの進化もあり、駅伝、トラックともに高速化が進んでいる。花田監督の言葉にある通り、日本を代表する選手の育成を目指す一方で、結果だけでなくそこに至るまでのプロセスも重視したい考えも示す。

「早稲田に来たときに、基礎的な部分が抜けていると感じました。肉体的、精神的な成長が伴っての記録でないと、社会人1、2年目で行き詰ってしまう。大学で終わっては意味がないので、大迫君のようにそこから一段、二段と高いレベルへ行き、(世界大会で)入賞していくためにも、4年間での基礎づくりを指導していかないといけないと考えています」

前回の箱根駅伝で早大は13位。次回は予選会からのスタートだ。花田新監督は上武大学の監督時代に8年連続で予選会を通過した経験を持つ。同時にGMOインターネットグループでは箱根駅伝優勝経験を持つトップ選手を、さらにハイレベルな領域にたどり着くための取り組みをしてきた。

「上武大学の12年間は、基礎的な能力の高くない選手、早稲田でいうと一般入試組を下から上に上げられる指導ができましたし、GMOではトップレベルの選手をさらに引き上げる指導が求められました。上と下の両方を経験できて、早稲田はその真ん中くらい。良い意味で両方、知ることができました」とこれまでの経験が早大での指導に生かせるとの考えを示した。

まずは今年10月の予選会に向け、どんなチームづくりりをするのか。今の早大にも井川龍人(4年)など日本選手権に出場するレベルの選手が複数いるだけに、彼らを個人としてどのように強化していくのか、期待は高まる。

現役時代だけでなく、指導者になってからも常に「世界」を意識し、選手に「夢は大きく」と言葉をかけ続けてきた花田新監督。それはこれからも変わらない。母校での新たなチャレンジに注目したい。

文/加藤康博

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