ボクシング・マガジン9月号の特集は、ヒーローたちの初陣。もちろん歴史にも踏み込んでいく。世界・日本の五輪チャンピオンたち、あるいはトップアマチュア、他の格闘技者が『初めてのプロファイト』をどう戦ったのか。その戦いと周辺事情を史実から掘り起こした。
上写真=アリは郷里の有志グループの支援のもとにプロとしてスタートを切った
オリンピックの金メダリストが、格別の待遇でプロに転向するようになったのは1950年以降である。ヘルシンキ五輪ヘビー級優勝のピート・ラデマッハー(アメリカ)がデビュー戦で、いきなり世界ヘビー級タイトルマッチに挑んだ。結果は無残だったが、この試合がきっかけとなって、アメリカではさまざま形で、『金の卵』である五輪チャンピオンのプロ序盤戦を支えていくようになる。モハメド・アリしかり、シュガー・レイ・レナードしかり。1980年代以降はもっと大規模な売り出しも画策されていくようになった。
日本でのオリンピック・メダリストは最初から特別扱いだった。1960年ローマ大会銅メダルの田辺清(中大→田辺)、その4年後の東京大会で見事に金メダルを射止めた桜井孝雄(中大→三迫)のプロ入りと、その周辺事情を記した。それ以上にボクシングファンを驚かせたのは、1990年、ソビエト連邦からやってきたペレストロイカ・ファイターたちの驚異の実力だ。本来、大学進出を決めていた具志堅用高(興南高→協栄)など、さまざまなプロ転向物語が語られていく。
全8ページ、ドイツ語、ドイツ文学の権威であり、また多くの分野で活躍される粂川麻里生氏に、『ボクシングライター』として健筆をふるっていただいた。

日本のファンにソ連ボクシングのすごさを始めて認識させたペレストロイカ・ファイターズ
また、特集はプロに来なかったトップアマチュアにも話を進める。1970年代から80年代、モハメド・アリとの対戦が待望されながら実現しなかった五輪3連破のテオフィロ・ステベンソンをはじめとする、あまりにも魅力的なキューバの戦士たち。頑固な共産主義体制がゆえ、ステートアマにとどまったソビエト連邦のコンプリートファイター。1920年代、無敵のアマチュア世界チャンピオンだったハリー・マリン(イギリス)や夏季冬季両方のオリンピックで唯一金メダルを手にしているエディ・イーガンなどの話題に触れている。むろんのこと、日本のアマチュアについても、ページを割いている。
テオフィロ・ステベンソンこそは史上最強のアマチュアだったという声も多い
写真◎ゲッティ イメージズ BBM
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