close

2022-12-19

【箱根駅伝の一番星】8年ぶりのシード権を母校に チーム1の努力家・大野陽人が挑む“2度目”の箱根路

4年生エース・大野が挑む2度目の箱根駅伝。念願の母校のタスキを掛け、チームをシードに導く(写真/JMPA)

陸マガの箱根駅伝2023カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」では出場20校の注目選手を紹介。箱根予選会トップ通過を果たした大東文化大でチーム2番手でフィニッシュした大野陽人(4年)は、前回大会、関東学生連合で8区を経験しているチーム唯一の箱根経験者だ。チームとして挑む“ラストチャンス”の箱根で8年ぶりのシード権獲得に向けて、4年生エースの真価を発揮する。

チーム唯一の箱根駅伝経験者

10月の箱根駅伝予選会でトップ通過を果たし、4年ぶりに本戦に返り咲いた大東大。現チームでは、大野陽人(4年)だけが箱根駅伝の経験者だ。大東大としての出場が叶わなかった前回大会で、大野は予選会落選校のなかから各校1名ずつで編成される関東学生連合に選出され、8区を担った。

連合チームで過ごした時間は決して長くなかったが、大野はその間にも他大学の選手たちとコミュニケーションを取った。「どんなトレーニングをして、どんな生活をしているのか。また、練習にはどんな気持ちで取り組んでいるか、いろいろ知ることができました」と、練習面だけでなく、生活面や精神面まで幅広く得た情報を大東大チームに持ち帰り、共有したという。

経験を糧に、今季は大東大の主軸としていっそう飛躍を遂げた大野。3月には胃腸炎で実家に帰っていた時期があったものの、練習に復帰後は4月からレースに出場。7月に5000m13分55秒27、10000m28分35秒92をマークしたのをはじめ、前期にトラック4種目で自己記録を樹立した。

秋には箱根予選会で真名子圭監督の設定どおりの走りを見せ、1時間03分12秒と自己記録を更新。その3日後に盲腸を発症し、練習を休んだ期間があったことから、約3週間後の全日本大学駅伝は5区9位にとどまったが、その悔しさを箱根駅伝にぶつける。

シード権獲得に向けて流れをつくる

今季の大東大は、前期から自己記録を出す選手が続出した。そんな活気に満ちたチームを見ながら、大野は「雰囲気が大きく変わって、にぎやかになりました。力強く、たくましいチームになってきたと思います」とうれしそうに笑う。

一方で、全日本で14位と他校の厚い壁に跳ね返された現実もしっかりと受け止め、「上には上がいる。予選会では戦えるチームになりましたが、本戦に出れば上位校とは実力差があると感じました」と気を引き締めている。

箱根駅伝での希望は「1区か2区を走りたい」。チームには留学生のピーター・ワンジル(2年)がおり、全日本の1区で区間賞を獲得したが、大野は「日本人選手も頑張って、ワンジルさん以外の選手が1区を走っても、区間賞を取れるようにならないとダメなんですよね」と話し、自身が流れをつくる役割を担うつもりだ。

中心選手として共にチームを支える久保田徹(3年)が、「大野さんはみんなが休んでいるときも1人で走るなど、誰よりも努力していました」と語る努力家。ライトグリーンの襷をかけて走る最後の駅伝で、4年生エースの背中を後輩たちに見せ、チームを8年ぶりのシード権獲得に導く。
 箱根予選会をトップ通過した大東大。写真前列中央が大野(写真/福地和男)
 箱根予選会をトップ通過した大東大。写真前列中央が大野(写真/福地和男)

おおの・はると◎2000年4月14日、山形県生まれ。174㎝・60㎏、A型。米沢四中→九里学園高(山形)。山形県高校駅伝では3年間1区を務め、すべて区間一ケタ。3年時には3000mSCでインターハイ決勝に進んだ。大学2年で走った箱根予選会はチーム8番手だったが、3年時にはチームトップの46位でフィニッシュ。関東学生連合のメンバーに入り、8区を任された。今季は春から1500m、3000m、5000m、10000m、ハーフと5種目で自己記録を更新している。自己ベストは5000m13分55秒27、10000m28分35秒92、ハーフ1時間03分12秒(以上、2022年)。

文/石井安里 写真/福地和男、JMPA

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事