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2023-10-18

【陸上】鹿児島国体・黒木海翔が高校歴代2位の10秒19! “速くて、強い”高校最強スプリンター

インターハイでの100m、200m二冠に続いて、国体でも100mを制した(写真/中野英聡)

2020年に新型コロナウイルス感染拡大の影響により延期となった鹿児島国体が13日から17日まで5日間、白波スタジアム(鴨池陸上競技場)で鹿児島特別国体として行われた。来年から「国民スポーツ大会」となる今大会。「国体」として最後の開催となった今年、中学生からシニアまでのトップ選手たちが、各種目で躍動した。

大会2日目の少年男子A100m予選で、黒木海翔(東福岡高3年・福岡)が10秒19(+1.8)をマークした。高校生の10秒1台は、13年に桐生祥秀(洛南高、現・日本生命)が出した高校記録(10秒01)に次ぐ高校歴代2番目のタイム。ブダペスト世界選手権で6位入賞したサニブラウン・アブデル・ハキーム(城西大附城西高、現・東レ)の高校ベスト(10秒22)を上回った。

会場のどよめきとは裏腹に、黒木は「力みのない程度に動きを確認しながら、楽に走った」と、驚いた表情も見せずに、10秒1台をあっさりと受け入れた。「シーズン前半から向い風で10秒2台を出していたので、条件がそろえば10秒2は切れると思っていた」と、冷静に答えた。

今年は黒木にとって、飛躍のシーズンだった。シーズン前半から当時の自己ベスト10秒28(-1.5)をマークし、自身初の国際大会となった6月のU20アジア選手権(醴泉・中国)では金メダルを獲得した。そして「追われる立場で臨んだ」今夏の北海道インターハイでは、100mと200mの二冠を獲得したのだった。

「速い選手より、強い選手になりたい」。それが、常々口にしていた黒木の理想像。だが、高校生で10秒1台を出したのだから、もはや「速くて、強い選手」だ。

もともと中学では走幅跳で全国中学に出場する跳躍選手だった。「リレーで全国を目指したい」と東福岡高へ入学し、本格的に短距離選手としてスタートしたが、高1は個人で北九州大会にも出場できなかった。高1時代の自己ベストは10秒67(+1.6)。

研究熱心で、練習中や試合のレースで動画を撮影して、自身の走りを分析する姿を何度か見かけたことがある。躍進の影に、そういった努力の積み重ねがあったことは、想像に難くない。それにしても、アジアチャンピオンとインターハイ二冠、そして10秒19の記録を出すとは、驚くべき躍進ぶりだった。

「2年前は結果が出ていなくて、ここまで来るとは思っていなかった」。黒木自身も、そう語った。

高校世代の全国大会は、鹿児島国体が最後となる。
「来年からは上の世代との戦い。一つひとつ集中して取り組んでいきたい」
速くなければ、強さが証明できないシニアでの挑戦。次は学生最強スプリンターとして、“速さと強さ”を追求していく。

文/新甫條利子 写真/中野英聡

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