close

2023-11-02

【天龍プロジェクト】“栃木ローカル団体の24歳”香取貴大、「龍魂杯」で目指すは「少年ジャンプの漫画の主人公」【週刊プロレス】

栃木「イーグルプロレス」所属の24歳、香取

栃木のローカルプロレス団体・イーグルプロレス所属として、そして「NEXT REVOLUTION」枠で天龍プロジェクトに上がる選手の中では唯一「龍魂杯」にエントリーされた香取貴大。“あざとかわいい”キャラクターでありながら一方で強さを求めていることを告白し、自身の物語を描こうとしている。24歳の主張に耳を傾けていただきたい。
◇     ◇    ◇
――24歳の香取選手にとって、天龍源一郎というプロレスラーはどういった存在になるのでしょうか。

香取 僕はWWEがプロレス入口で、そのあとオカダ・カズチカさんが凱旋してまだブーイングを受けていた頃の新日本から日本のプロレスは入ったんです。そこから、もうYouTubeで昔のプロレスを見られる時代だったので、そのなかに天龍さんもいられて。当時はプロレスについて何もわかっていなかったですから気持ちの入った熱いプロレスをやる方だなって思いながら見ていました。最近でも、それこそオカダさんとの引退試合を映像で見て、この試合すげえ!ってなりましたし。時代は変わっているのに、昔の映像と見比べてもやることは変えずに勝負している。それをプロレスラーになって拳剛さんとやった時に、肌で感じられたんです。こういうプロレスっていいなあって。

――拳剛選手を通じて天龍さんのプロレスを隔世体験したと。

香取 僕にとって身近な人の中で、天龍さんと一番身近なのが拳剛さんというのもあると思うんですけど、直接触れ合えていない世代の僕でも拳剛さんと対戦することで、映像で見ていいなとあこがれたプロレスを体験できているんです。

――まったく世代的に被っていない自分に天龍プロジェクトからオファーが来た時はどんな気持ちでしたか。

香取 言葉にすると普通に聞こえちゃうのかもしれないですけど…感動としか言いようがなかったですね。伝説の方のリングですし、まったくの別世界だと思っていました。でも出たいと思っていたので、こうしてスタートラインに立たせていただいたチャンスをいただけました。同時に、僕の中では天龍プロジェクトとイコールで結ばれるプロレスラーが拳剛さんだったので、拳剛さんを超えてみたいという意識が高まりました。

――香取選手は「STILL REVOLUTION」シリーズではなく「NEXT REVOLUTION」で8月から参戦を続けています。実際に天龍プロジェクトのリングに上がって感じることは?

香取 試合もそうですけど、セコンドについて試合を見るだけでもここでしか学べないものがあると思いました。僕は栃木のイーグルプロレスに所属していますけど、そこは客層が家族やお爺ちゃんお祖母ちゃんが中心なんで、ルチャの動きをやったりで見せるものが違ってくるんです。もちろんそれが求められているものだから大切なんですけど、それに対して天龍プロジェクトさんではプロフェッショナルレスリングと思えるものを学べる。自分のスタイルに影響を及ぼしてくれるリングって言ったらいいんですかね。上がるようになって極端に変わったわけではないですけど、自分の中に芯を持ってそこに色づけさせていくイメージですね。漢(おとこ)を見せたい、強さを見せたいっていうのは天龍プロジェクトに上がる前から思っていて、それもあってここに上がりたいって思っていたんだと思うんです。

――ローカルプロレスにはローカルプロレスの意義があるわけですが、イーグルプロレスを選んだ時点で、業界的に名をあげたいという目的を成就するにはある意味ハンディを負うことになりますよね。

香取 僕は変態なんです。地方のドインディーからすごいプロレスラーになっていくストーリーが僕の中で描かれていて、それこそがなりたい姿なんです。入門した時はそんな余裕はなくて必死に頑張っていただけでしたけど、いろいろなところへ出られるようになって、中でもFREEDOMSさんに出たのがきっかけでバーッとチャンスが広がって、その時にこのままイーグルプロレスの看板を背負ってその名を広めていこうって決めたんです。そういう、少年ジャンプの漫画の主人公みたいな人間になりたくて。

――そうした物語を描きたいのであれば、龍魂杯に出場できたのは大きいですよね。“NEXT REVOLUTION組”の中では唯一のエントリーです。

香取 そうですよね! 出場全選手を見た時にこれ、僕が出ていいのかなって思っちゃいました。谷嵜さんとは過去にシングルやった時がはじめましてで、ドラゴンゲートを見ていた時に谷嵜さんの試合を見ていたんで、あこがれがあったんですけど、まあ脳みそがついていけなかった。初めてやるのに僕という人間の行動がすべて読まれるって、気持ち悪いですよ。その印象が強く残っています。

――脳の徒競走で完敗を喫したと。

香取 でも、顔を見てもらえばあの頃と違うっていうのも谷嵜さんは読むと思うんで、変わった自分が突破します。そのあと、拳剛さんと天龍プロジェクトさんのリングでどうしても闘いたい。FREEDOMSのリングでもやっていますけど、何回殴り合っても気持ちいいのが拳剛さんなんで。

――16選手の中で香取選手は軽量になります。

香取 FREEDOMSに上がり始めた頃って、武者修行的立場でヘビー級の人とばかりやっていたんです。だから経験はあるし、実はヘビー級相手の方が闘いやすいって思っています。もちろんラクではないですけど、闘い方は身に染みてわかっているんで。僕のような小さい人間だから、デカい人に勝った時の快感が味わえるわけで。
――後楽園のシングルメインはJ STAGEで一度経験していますよね(2020年3月18日)。

香取 あの時は相手が僕にプロレスを教えてくれて、小中学生でバッテリーを組んでいた井坂レオが相手で、マジで友情物語みたいじゃん!って言い合いましたね。布団の上でプロレスごっこをやっていたのが、気がつけば後楽園のメインのリングって、メッチャ熱いじゃないですか。あれは気持ち的にもヤバかったですね。決勝までいけたら、後楽園のメインはそれ以来になりますけど、僕の中でどうしても闘いたい相手がいるんです。児玉裕輔さん。プロレスの脳みそにしても技にしても、児玉裕輔というものがしっかりある方じゃないですか。僕はまだグチャグチャしていて、香取貴大というイメージが定まっていない。だから個が定まっている人に惹かれるんです。さっき、芯を持ってと言いましたけど、まだブレブレだなっていうのが本音で、本当にこれでいいのか?って自分に対し疑心暗鬼になってしまう。自分にとっての100点がどんな姿なのかイメージできていない。児玉さんと肌を合わせることで、自分が目指すべき目標がしっかりと立てられる気がするんです。

――天龍プロジェクトに上がっている中にもインディーや関西圏、ローカルで活動していてもっとステージを上げたいと思ってやってきた選手たちが何人もいます。

香取 そうですよね。皆さん、天龍プロジェクトのリングでそこからつながる物語を描いているので、僕もそうならなければと思います。物語と自分探しの旅の途中であり、自分を作り上げていく中でこのリングでしか得られないもの得て、優勝も得て、イーグルに持ち帰ります。そうしたら吉田(和則)代表も「よくやった!」って家のトランポリンでピョンピョン飛んで喜んでくれると思うので。(聞き手・鈴木健.txt)
「第3回龍魂杯」トーナメント表

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事