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2023-11-03

【天龍プロジェクト】谷嵜なおきにとっての「龍魂杯」は、違う流派が集う天龍プロジェクトの「海千山千トーナメント」【週刊プロレス】

「龍魂杯」に関して独自の思いを語った谷嵜なおき

DOVEプロレス所属でありながら“多団体男”として活動している谷嵜なおきから見た天龍プロジェクトのリングは「流派の違う選手たちの中で埋もれないようにする場」だと言う。「龍魂杯」の価値についても独特の言い回しで語ったので、ご覧いただきたい。
◇   ◇   ◇
――谷嵜選手はDOVEプロレス所属として非常に多くのリングに上がり活動しています。その中で、天龍プロジェクトならではのものは何になりますか。

谷嵜 これは初参戦の時からずっと感じていることなんですけど、これほど流派の違う選手たちが集まる団体はいろんなところに上がっている中でほかにないと思うんです。今まで自分がやってきたスタイを崩すつもりはないですけど、知らず知らずのうちに引き込まれたりもするし、こっちに引き込んだりもするしで、自分たちのスタイルのせめぎ合いの場が天龍プロジェクトだと思っています。僕もけっこうなキャリアになりますけど、ここへ参戦するたびに発見があって、まだ自分にものびしろもあるんじゃないかって思わせてくれる団体ですね。
――最初にオファーが来た時は、天龍さんのイメージそのものでしたよね。

谷嵜 実は僕、再始動前の天龍プロジェクト発足までさかのぼると、ドラゴンゲート時代に参戦していたんです。その頃の印象とは全然違っていましたよね。より個性的な団体と言いますか、キャラクターが濃くなっていた。だからこそ、これは埋もれるわけにはいかないなってなりました。

――その中で自分をどのように持っていけばいいかというのは、重要なテーマになりますよね。

谷嵜 おそらくほかのリングでは黙っていても谷嵜なおきの試合ができているんです。でも、ここではそれをやるのが難しいって感じますね。濃い目のメンバーに食われるっていつも思いながらやっている。なので、試合の勝敗とともにここでは存在感の闘いでもあるんですよね。

――異なる流派の集まりの中で、児玉裕輔選手のようにそれまで接点がなかった選手とチームとして機能するまでになりました。

谷嵜 こだやんについては、SNSや雑誌で名前を知っているぐらいの認識だったんです。過去に何度か6人タッグなどで当たっているけど触れる程度で。クラス替えの新学期にたまたま同じクラスになって、たまたま隣の席になって意気投合して一緒に遊び出したらいい感じだったんで、その勢いでベルトを獲れた感覚なんですよね。それまで組んでいなかったのに、初めて組んだ時になんでこんなにうまくいくんだろうって思うぐらいの阿吽の呼吸でやれて、タッグワークも自然にできたので本人たちが不思議がったという。

――これといった理由は見つかっていないんですか。

谷嵜 やっている中で思うのは、お互い持っていそうで実は持っていなかった部分をそのつど察知してカヴァーし合っているとは感じています。いまだに普段、一緒にどこかへいくこともないし電話番号もお互い知らなければ、LINEでもつながっていないですからね。

――いい意味でクオリティーの高いビジネスパートナー同士ですね。

谷嵜 会場に着いて試合が始まるまでの控室でしか一緒にいないし会話もしていないのに、タッグチームって成り立つものなんですね。お笑いコンビでも出番まで顔を合わせないっていうじゃないですか。その感覚に近いんかなって思うんですけど。そのこだやんも含めてのトーナメントでしょ? まあ去年以上に濃いメンツですよねえ。実質、トーナメント名は「海千山千トーナメント」ですよ、これは。リーグ戦もそうですけど、こういう大会があると優勝した人がベルトに挑戦するっていう流れになるじゃないですか。でも、この龍魂杯に関しては優勝した人間がベルトを持っているチャンピオンに対し、挑戦してこいよって言えるぐらいの価値あるトーナメントだって思うんですよ。だって、優勝するまでこんなに短いスパンで闘わなければならないわけですよ。これほどさまざまなタイプの中で一日3試合勝たなければならないなんて、ベルトが懸かったタイトルマッチよりある意味過酷じゃないですか。

――言われてみればそうですね。

谷嵜 僕も別々の興行で昼夜出場するという経験はしていますけど、一つの興行の中でシングル3試合はたぶんやったことがないと思います。去年は1回戦だけで、翌日に2回戦で負けたからそんなにやっていないし。

――それほどの闘いをやって優勝したのに、何が哀しくてチャレンジャーなのかってなるでしょう。

谷嵜 そうですよ。だから優勝者が挑戦者なのではなく、龍魂杯優勝者にベルトを持った人間が挑戦してくるんだから、持っているものは懸けろよという言い分ですよね。

――1回戦の相手・香取貴大は24歳と若い選手です。

谷嵜 まさに伸び盛りの若手っていう印象ですね。一回、シングルでやっている記憶があるんですけど(2021年10月17日、FREEDOMS大阪大会で谷嵜の勝利)、若手の成長具合ってちょっと見ない間にすごく立派になっていたりするじゃないですか。特にいくつかの団体に上がることで経験値を上げているだろうから、まったく侮っていないですよ。

――同じDOVE所属のパロマ選手が天龍プロジェクトのリングで輝いているのはどう映っていますか。

谷嵜 レイパロマの天龍プロジェクトにおける立ち位置というかポジションには、ちょっと嫉妬する部分もあります。あとから僕がDOVEに入った時には、パロマさんの方が僕に嫉妬していたって聞いたんですけど、ここでは逆ですね。準決勝は大阪なので、大阪のファンの前でDOVE同士の準決勝を見せられたら僕も嬉しいです。その上で決勝に児玉裕輔が上がってきたら最高。こだやんとIJタッグのベルトを獲り戻したいんで、それに向けて二人で決勝に進出できたらそっちもいけると思うんですよね。

――この前の新幹線が遅れて試合ギリギリに会場入りした時(8・16新木場当日、台風の影響で新幹線が遅れ進祐哉とともに大会開始後に滑り込む)の執念があればどんな困難も乗り越えられるのでは?

谷嵜 あれはね、タッグマッチが組まれていて自分以外の3人もはちゃんと準備できて会場にいるわけじゃないすか。これで試合寸前にやっぱり間に合いませんでしたって連絡を入れるとなると、待っている彼らにいらないプレッシャーを持たせてしまったり、運営側もマッチメイクを変えたりする必要があるから、いろいろ生じ得ることを考えて早めに間に合わなさそうです、無理ですって連絡することも頭をよぎったんです。そんなことを一緒に移動していた進さんにも言ったら「いや、大丈夫。間に合いますよ!」って言うから、この人は何を根拠に言っているんだろうと思いつつ、もう天に任せるしかないじゃないけど、これで間に合わなかったら間に合わなかったでなんとかなるだろうって、途中から開き直りました。
――でも、途中で何度か停まったり、間に合うかと思ったら品川駅の寸前で長時間停車したりで大変だったんですよね。

谷嵜 電車の中でコスチュームに着替えたのは初めてでした。りんかい線に乗り換えたら本当に人がポツンポツンとしかいなかったんで、常識の範囲内でスーツケースを開いて…さすがにアンダーとかは履き替えなかったでけど、レガースは普通に履きましたし。会場に着いてから着替えたら確実に間に合わなかったです。僕も途中、ツィッター(X)で経過を報告していたから、間に合うだろうかと思っていたお客さんもいたでしょうし。でも知らずに見ている人もたくさんいるわけで、それを感じさせないように振舞おうと思いながらリングに上がりましたね。

――その一緒に急いだ進選手も当日のメインでIJタッグを奪取して、そのあとシングルも戴冠と。昔から知っている進選手が頂点に立ったのを見たらシングルの方も…となるでしょう。

谷嵜 龍魂杯で優勝すれば、ベルト獲りに出ても文句は言われない。あらゆる流派の中で一番になれる場ですから執念、出ちゃいますよね。(聞き手・鈴木健.txt)

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