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2023-11-12

【相撲編集部が選ぶ九州場所初日の一番】3大関が揃って圧勝。綱取り目指す貴景勝も好スタートを切る

北勝富士を危なげなく押し出した貴景勝。綱取りへ向け、まずは好スタートを切った

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貴景勝(押し出し)北勝富士

横綱不在の土俵を、3大関がしっかりと締めた。
 
この日から始まった一年納めの九州場所。照ノ富士が「腰椎椎間板性腰痛」で休場し、横綱不在とはなったが、3年10カ月ぶりに立ち合い前の水付けも復活して本来の風景が戻り、幕内でも物言いのつく相撲が続出するなど、初日から熱戦が展開された。
 
今場所一番の注目は、やはり先場所優勝し、綱取りの期待がかかる大関貴景勝だ。先場所の優勝が11勝だったこともあって、佐渡ケ嶽審判部長(元関脇琴ノ若)が「最後まで見てみないと」と語るなど、綱取りムードはさほど盛り上がっているとは言えないが、大関の地位で連続優勝となれば、成績上は昇進への内規を一つ満たすことになり、昇進への可能性が生まれてくる。
 
この日の相手は、先場所初日に取り直しの末に叩き込まれて苦杯をなめている北勝富士。しかし今場所はまったく隙を見せることなく圧倒した。両手をついて待つ形からタイミングをとらえて素早く立ち、北勝富士を立ち遅れたような形にさせると、そのまま右手は相手の胸に当て、左をハズに入れての押し。相手に左に回られても全く慌てず、危なげなく押し出した。
 
取組後には、「先場所初日に負けている相手だが」と問われ、「相手に気をつけるというより、自分がどうしていくかだけを考えました」と貴景勝。まずは思い通りの内容での1勝と言えるだろう。
 
今場所は、場所前に首の違和感を訴える場面があり、心配されたが、そこに関しては、「(場所に)出場した時点で、そういう質問はしないでください。出ている以上、何のアレにもならないので」と、いかにも大関らしい言い回しで質問をシャットアウト。この日は立ち合いは両手と頭で当たっており、見たところ、とりあえず首の状態の影響は感じさせなかった。

「一日一番という感じではなく、15日間の勝負。きょう一生懸命やった人だけが、次に進めるという気持ちでやっている」と大関。この先も、次に、次にと順調に進んで、綱取り気運を盛り上げていくことができるか。先場所見せた、大関持ち前の「前後を裁断しての集中力」に期待がかかる。
 
ただ同時に、この日はほかの大関陣も、豊昇龍が正代を、そして霧島が宇良を、ともに鋭い立ち合いから一発で相手の上体を浮かせてしまう好内容で勝利。さらに関脇陣も、若元春こそ立ち合いに先に上手を取られて髙安に上手から投げられて敗れたが、大栄翔は持ち前の突き押しで低い体勢でくる明生を突き起こしての突き出し、琴ノ若はうるさい翔猿をよく見ながら機をとらえて一気に押し出しと、上位陣のほとんどが今場所の主役へ名乗りを上げるに十分な内容でのスタートを切った。このあたり、上位の力士の多くがバタバタと星を落としていった先場所とは、周辺状況という意味ではちょっと違うという感じもまたある。

今回の貴景勝の綱取りは「まずは優勝」が前提になっているだけに、周囲の実力者が好調であれば、それだけハードルの高いものになる。そうなれば道は険しいものになるともいえるが、逆にもしもそこを勝ち抜けたときには、低かった昇進ムードも盛り上がるはず、という一面もあるだろう。果たしてどんな結末が待っているのか。ドラマはまだ始まったばかりだ。

文=藤本泰祐

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