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2024-11-27

【しゅりんぷ池田のカード春秋】FUSION(第1回)FUSIONカードの制作は大変

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8月末からシーズン終了の10月上旬にかけて制作を進めていた今年の「FUSION」カードが発売となりました。

このカードの制作は大変なんです。なにしろ、2024年のプロ野球の総集編とうたっていることもあって、今季終了時点の成績をそれぞれのカードに入れなければなりません。シーズン最終戦の10日前からは毎日15時になるとNPBの公式サイトの公示のページが更新されるので、これをチェックします。登録抹消が公示されると、その後10日間は再登録ができないので、この時点で抹消された選手は今季の成績が確定したことになります。それらの選手の成績データをまとめて印刷所に送るわけです。その後、今季の日程が終了したチームの選手の成績データをまとめて再び印刷所に送ります。毎日この作業を繰り返すわけです。

「タイトルホルダー」のカードも大変です。今季のセ・リーグの首位打者は142試合目でオースティン(DeNA)がサンタナ(ヤクルト)を抜き去ってタイトルを奪取しました。筆者もサンタナが逃げ切るだろうと思っていたのですが、オースティンが141試合目で規定打席に到達し、その日の試合で4打数3安打して首位打者の可能性が浮上。あわててオースティンの写真や原稿を準備しました。142試合目でオースティンが1打数1安打ならサンタナを上回ることになるのですが、これが本当に最初の打席でヒットを打って、直後にオースティンに代走が送られ首位打者が確定しました。この時点でサンタナはすでに帰国していたのですが、まさか抜かれるとは思ってなかったのではないでしょうか。

TH01 首位打者 オースティン
TH01 首位打者 オースティン

TH18 最多勝 有原航平(ソ)& 伊藤大海(日)
TH18 最多勝 有原航平(ソ)& 伊藤大海(日)


パ・リーグの最多勝も接戦となりました。10月3日に有原航平(ソフトバンク)が14勝目をマークして伊藤大海(日本ハム)に並びました。伊藤が同8日の最終登板で勝利すれば15勝で単独のタイトルとなるところでしたが、勝ち星を挙げられず2人で1枚のカードに収まることになりました。
セ・リーグの最優秀中継ぎのタイトルも桐敷拓馬(阪神)と松山晋也(中日)がタイトルを分け合いました。当初は桐敷が先行していて9月29日に43HP目を挙げていて、10月3日にシーズン終了。同5日に松山が43HP目で追いつき、翌6日の最終戦でホールドポイントを挙げれば単独タイトルの可能性もあったのですが、同日に松山は登板せず、こちらも2人で1枚のカードとなりました。

No.98 島内颯太郎(広)
No.98 島内颯太郎(広)

No.99 津田恒実(広)
No.99 津田恒実(広)


「FUSION」の本体とも言える「記録の殿堂」ではある記録を樹立した現役選手と同種の記録を持つOBを組み合わせてカード化するのですが、最後の最後まで何が起こるか分からないので、だいたい候補を決めておきながらNo.96~No.99の4枚を残してシーズン最終戦を待ち、終了後にチェックリストを完成させました。最後に選んだのがNo.96髙橋宏斗(中日)の「球団投手のシーズン最高の防御炉率1.38」とNo.97杉下茂(中日)の「球団投手のシーズン最高の防御炉率1.39」、No.98島内颯太郎(広島)の「救援投手が勝ち頭の11勝」、No.99津田恒実(広島)の「救援投手が勝ち頭の12勝」となりました。この際カップリングさせるOBが連絡先が分からないような方だと困ったことになるので、これも行方が分かっている方をあらかじめ探しておくのです。杉下、津田の両氏はともに故人ではありますが、ご遺族に連絡するとすぐに承諾していただけました。

毎年この最後の着地を決めるのが腕の見せどころなのですよ。今回はカード4枚、2組を残してNo.95までの制作は進めていたのですが、シーズン最終戦で大記録が3つ以上生まれるとカードの面付けをオーバーしてしまいますので、最後の最後まで気が気でない状態で制作終了後はクタクタになってしまうシリーズなのでした。


当コラムは、これまで「週刊ベースボール」の「Curutural Review」のページに掲載されていたカードのコラムを転載していたのですが、2001年春から続いていたこの連載が先日の4月1日号をもって終了しました。今後、当コラム「カード春秋」(※)はBBMカードサイトのオリジナルコラムとして続けていこうと考えておりますので、よろしくお願い致します。

※「カード春秋」というタイトルは、わたしの出身校・香川県立高松高校(旧制・高松中)の大先輩にして、文藝春秋社の創設者である菊池寛先生へのオマージュなのです。

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