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2020-05-15

日本代表・橋本拳人のボールの奪い方「奪うときの適切な判断が大事」

――育成年代のみんなへ――
バランスなどを気にせずまずは100%でやる

――海外の選手と対戦する中で、ボールを奪う部分に違いを感じたことはありますか?

橋本 海外の選手とやると、自分が「奪える!」と思って前に出ても、それより先に体を入れられることがあります。一歩前に出るスピードやドリブルでボールを運ぶときのパワーにも違いを感じました。普段の感覚でプレーしたら全然取れなかったので、違う術を見つけ出さなければいけないと思いました。

――海外の選手とやって負けないためにはどうすればいいでしょうか?

橋本 パワーは必要不可欠だと思います。ただ、僕の場合はいかに素早く動けるかを突き詰めたほうがボール奪取につながるのではないかと思っています。走り方やステップワークを向上させることで、動き出しのスピードを上げたり、止まったあとにもっと速く動き出せるようなプレーです。海外で長くプレーする吉田麻也選手(サンプドリア)や長友佑都選手(ガラタサライ)などと話すと、勉強になります。今まで自分が考えていなかったことを教えてくれますし、体の使い方をすごく意識してやっているので、参考になります。

――ボールを奪うことについてのアドバイスを育成年代の選手に向けてお願いします

橋本 日々の練習でプレッシャーを掛ける場面はたくさんあると思います。そこで、どれだけ100パーセントの力でやるかが大事だと思います。その点を常に意識してやらないと伸びません。練習のときに「これくらいでいいか」と思ってやっていると、試合の大事な場面で遅れます。ボールを奪いに行く、スプリントをする、強く当たるといったプレーはやり続けることが大切です。高校生のときの僕は、相手が先輩だろうと遠慮せずにぶつかっていました。

――周りの選手に嫌がられませんでしたか?

橋本 先輩にはかなり怒られました(笑)。「危ないだろ!」と言われたことは一度や二度ではありません。でも、そこで負けてしまってはダメです。自分が成長するためには、がむしゃらに行けるところは行ったほうがいいです。プレッシャーの掛け方やバランスのとり方は、大人になってからでも身につけられます。10 代のうちはボールホルダーにどれだけ強く行くか、どれだけ寄せられるかが大事になるので、その一歩にこだわって欲しいです。単純なボール回しの練習でも、ボールを奪うシーンはたくさんあるでしょう。一つひとつのプレーにこだわり、積み重ねていって欲しいと思います。

プロフィール

橋本拳人(はしもと・けんと)

1993年8月16日生まれ、東京都出身。FC東京U-15深川、FC東京U-18でプレーしたのち、2012年にトップチーム昇格。13年と14年は期限付き移籍先のロアッソ熊本で試合経験を積み、15年に復帰。高いボール奪取能力を武器に、中心選手の1人として活躍。19年はJリーグベストイレブンに初選出されたほか、日本代表にも選ばれ、7試合に出場した。ボランチを本職とするが、サイドバックやセンターバックなど、複数のポジションでプレーできる。183cm・76kg

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