close

2020-01-30

野球のコンディショニング科学「筋力トレの基礎知識③瞬時発揮筋力」

瞬時発揮筋力を高めるトレーニング

 では、瞬時発揮筋力を高めるためにはどのようなトレーニングをすればいいのでしょうか。

 1つ目は、力を入れていない状態から素早く一瞬に力を入れることを意識したトレーニングです。例えば、ランジ動作で踏み込んだ際に一瞬止まるように意識することなどです。

 2つ目は、ストレッチ・ショートニング・サイクル(SSC)を意識したトレーニング、通称プライオメトリックストレーニングとなります。
 このSSCとは、筋が伸ばされた(ストレッチされた)後に最短時間で縮む(ショートニングする)ことを意味します。いわゆる動作の切り返し時に筋が伸ばされたものを一瞬で短縮させるように意識したトレーニングです。例えば、台などの段差から飛び降り、着地直後に大きくジャンプするデプスジャンプなどが挙げられます。

 先ほども述べましたが、「力はあるのに、いまいちキレがない」という選手や「トレーニングした成果が野球につながっていない」と思う選手こそ、瞬時発揮筋力を意識したトレーニングを実施すべきです。オフシーズンに鍛え上げた最大筋力をはじめとしたフィジカルを、「投げる」「打つ」の野球動作に生かすために、実戦期に入る前に瞬時発揮筋力にターゲットを絞ったトレーニングに取り組んでみてはいかがでしょうか。

かさはらまさし/1979年千葉県出身。習志野高校―国際武道大学。高校まで野球部で活動し、3年時には主将。大学卒業後は同大学院を修了し、国際武道大学トレーニング室のアスレティックトレーナーとして勤務。その後は鹿屋体育大学大学院博士後期課程を修了し、2015年にはオーストラリア国立スポーツ科学研究所客員研究員としてオリンピック選手のサポートを歴任。専門はアスレティックトレーニング、コンディショニング科学。現在は国際武道大学にてアスレティックトレーナー教育を行いながら、アスリートの競技力向上と障害予防に関わる研究活動を行っている。学術博士(体育学)、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー、NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト、日本トレーニング指導者協会公認上級トレーニング指導士、JPSUスポーツトレーナー。

文責◎ベースボール・クリニック編集部

おすすめ記事

ベースボール・クリニック 2020年2月号

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事