9月13日、日本インカレ最終日の男子800m。松本純弥(法大2年)が日本歴代9位タイ、学生歴代4位となる1分47秒02の大会新記録で連覇を果たした。
写真上=「タイムより勝負にこだわった」。松本が日本インカレ男子800m大会連覇を達成(田中慎一郎/陸上競技マガジン)
レース展開を問わず、片時もその姿から目が離せない。松本純弥にはそんな魅力がある。
最後尾に近い位置取りでレースを進め、2周目に入るタイミングでは先頭をうかがう位置につけるのが彼の流儀だ。そしてフィニッシュ地点ではきっちり差し切る。
瀬戸口大地(山梨学大4年)に0秒26差の1分47秒02で勝利した日本インカレ男子800m決勝が、まさに典型的なレースパターンだった。
800mは「陸上の格闘技」とも呼ばれ、走力、持久力だけでなく、位置取りの激しさや駆け引きといった要素も加わる。1年時から日本インカレを連覇し、日本歴代9位タイに名を連ねた松本にとって、最後尾に位置することの多い「1周目」はどのような意味を持つのか。どのようなイメージでレースに臨んでいるのか。
「まずレース展開をある程度予測します。自分がいなかった場合の展開を考え、ゴールタイムを予測する。それに基づいてペースを決めている感じですかね。イーブンペースで入りつつ、先頭と最後尾の選手との距離を測って、どのくらいの位置でペースが落ち、どのくらいの位置で自分が上げていけば前の選手に届くだろう、と考えておいて、あとはレース中の感覚ですね」
勝負は事前のシミュレーションから始まっている。基本は3パターンくらい。ハイペース、スローペース、誰かが行く、誰かが行かない、そういった要素を加味して、プランを立てる。この日も出場選手に後半型の選手が多かったので、前半は抑え気味の展開になると想定していた。

ラスト1周に向けてペースを一気に上げる松本(写真/田中慎一郎・陸上競技マガジン)
だが、決勝の展開は「予測外」だった。
瀬戸口が積極的に仕掛け、400mの通過は52秒。そこから遅れて7~8番手で通過した松本がペースを上げ、バックストレートで2番手に浮上する。
「瀬戸口さんにずいぶん行かれて、反応が遅れてしまって。400mの通過が速くなかったのですが、焦らず、後半追っていくことができました。冷静なレース運びができたと思います」
前述した松本自身の言葉の通り、どの位置でペースを上げれば最後に届くのかという感覚に秀でているのだろう。そして、確固たる自信にも裏打ちされている。
「展開といっても、誰かがどこかでスパートするだけです。それがよほど早いタイミングでない限り、後半追えますから。今回、金子選手(魅玖斗、中大1年)が追ってくるかなと思って、ラスト300mで振り向いたのはそういうことなんですけど、なんとかなります」
ここで挙げた勝負のカギは「1分47秒の世界」のほんの一部かもしれない。ただ、レース前の準備、フル稼働するレース中の思考。それが1分46秒台を目前にする松本の強さのバックボーンとなっている。
文/石井 亮
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