11月6日、東京・後楽園ホールのWBO世界フライ級王座決定戦に出場する中谷潤人(M.T)は28日、オンラインでの記者会見を行い、対戦相手のジーメル・マグラモ(フィリンピン)対策に「いいイメージを持っている」と自信を示した。 コロナウイルス感染対策のため、世界戦決定の発表会や公開計量を含む、すべての行事が実施されないという異例だらけの世界戦だ。この大事な戦いに向けて、中谷が会見を開いて発言するのはこの日が初めてになる。日程まで決まりながら2度まで延期になっているが、中谷は余裕のある表情、受け答えで記者の質問に応じてみせた。
「(マグラモは)よく手が出る選手。距離をとって戦うことに、いいイメージを持っています。たとえ打ち合いに巻き込まれても、打ち勝てる自信もあります」
たび重なる延期にもめげず、スパーリングで無数のラウンドをこなし、「いいイメージ」を育んできた。ジムの関係者から「全部で500ラウンド以上」と声をかけられて、本人も驚いていたのだが、半年以上も準備が続行されたのだから、確かにそのくらいはやっているのかもしれない。
これまで練習の拠点にしてきたロサンゼルス行きはかなわなかったが、日本国内での質のいいスパーリングで戦力をさらに積み上げてきた。寺地拳四朗(BMB),比嘉大吾(Ambition)とそれぞれ2度、顔合わせもした。「距離をしっかりと作って戦えば大丈夫」と比嘉には激励もされた。
師匠であるロサンゼルス在住のトレーナー。ルディ・エルナンデス氏は今回、来日できないが、それもさして心配していない。
「4月に開催予定だった試合に向けて、2月にロスで合宿しています。そのときにルディのもとで一度は仕上げています。その後もスパーリングなどの動画を送り、そのたびにアドバイスももらっています」
今後は軽めのトレーニングに切り替えて、万全のコンディションで試合当日を迎えるだけだ。
不安があるとすれば。待たされた時間があまりに長かったこと。いつやれるのかどうかと心に負荷を抱えながら、ずっと休みなく節制を重ねてきた。
「ふだんは(フライ級リミットの50.8キロより)9キロくらい重いのですが、その間、いつでも試合ができるように6キロ・オーバーくらいに体重を保ってきました」
一度も取り乱したことはなかったという。
「家族はもちろん、周辺、応援してくれる人たちの支援もあって、ずっといい環境を作ってもらえていました」
8月に再度の延期が決まったときには、家族で旅行したこともある。
「逆にメンタルでも強さを増したと思っています」
不安など一切ない。あとは戦うだけと決意はみなぎる。
「マグラモ選手はホテルで順調に練習を重ねていると聞いています。試合まで(コロナウイルスに感染しないように)安全に過ごしてもらいたいですね」
敵にエールを送るほど、中谷は最後まで余裕を見せていた。
写真◎M.Tジム、BBM
スパーリングは500ラウンド以上。度重なる延期の不安はない
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