トップレベルのアメリカンフットボールに、プロ野球から初めて挑戦する元横浜DeNAベイスターズの石川雄洋。多種多様なポジションがあるアメフトは、もともと、他競技から参入した選手が、トッププレーヤーになり得る土壌を持っている。
世界最高峰のNFLでは、元カウボーイズのWRボブ・ヘイズ(1964年東京五輪男子100m優勝)、元ペイトリオッツのGスティーブン・ニール(1999年レスリング世界選手権フリー130キロ級優勝)のように、スーパーボウル勝利と「他競技の金メダル」を両方獲得した選手がいる。チャージャーズで活躍した元TEのアントニオ・ゲーツのようなバスケットボールからの転向組も普通に活躍している。
1964年東京五輪で男子100mの金メダリストとなったヘイズは、後にNFLカウボーイズでスーパーボウルを制覇した=photo by Getty Images
ノジマ相模原の石井光暢ゼネラルマネジャー(GM)は、11日のオンライン会見で今回の石川の加入に関連して次のように語った。
ラグビー日本代表の山田章仁は、ノジマ相模原ライズでフットボールをプレーした経験を持つ=2012年10月、撮影:小座野容斉
日本のNo.1スポーツはやはり野球といってよい。他のスポーツに比べても認知度、競技人口、世界的な競技水準は上位にある。その国内の頂点に位置する日本プロ野球では、2020年の引退選手の人数は133人、引退時の平均年齢は、28.1歳で、平均在籍年数は7.7年というデータがある。過去5年間でいえば、在籍年数は年々短くなり、年齢はだんだんに若くなっている。
少し古い2004年のデータでは、高校卒業後すぐにプロ野球入りした選手の約3割が一軍での試合出場がないまま引退し、一軍経験のない選手の平均在籍年数は4年程度という数字もある。
負傷や身体能力の衰えで引退する選手ばかりではないということだ。
石川は、現役続行を目指してトレーニングを今春まで続けていたため「まだまだ体は十分に動く。アスリートとしてやり切っていない」という動機を語った。30代半ば、プロ生活16年の選手でこうなのだから、20代前半でプロ野球の道を閉ざされた選手たちの中には、アスリートとして再チャレンジしたいと気持ちを持っている人も多いだろう。
大半は、社会人チームなどでの野球続行を選ぶだろうし、それに異論はない。ただ、過去5シーズン647人のプロ野球引退者の中から他競技への転向は2人だけというのも少なすぎる。そして、フットボールが今まで選択肢とならなかったのは、競技として難しいからではなく、単に認知度が薄いからではなかったか。
もちろん、問題もある。アメフトは日本国内のリーグではプロとして生計が成り立たない。職業は別途探さなければならない。ただ、大半がクラブチームであって、様々な職業の選手が所属しているXリーグに加入すれば、人脈は間違いなく広がる。再就職にもプラスになるように思う。
人気を誇るプロスポーツからの転身は、どうかすると話題作りのためと受け取られがちだ。しかし、石川とライズのチャレンジが成功することで、フットボールへの転向が選択肢となれば、野球界にとってもフットボール界にとってもプラスの話だ。話題作りではなくルート作りとなって欲しい。石井GMの「今回が特別なケースではない」という考えを強く支持したい。
プロ野球のスターだった清原和博さんの子息が、高校ではフットボールで活躍、慶応大学に進学後、再び野球に戻ったという。早稲田大学ビッグベアーズのQBだった吉村優は、再び野球の世界に戻り、プロを目指すという。吉村は「4年間アメフトを続けたことで、投手として再び道が開けた」と語っているという。
シーズンスポーツ制の米国では当たり前の往来が、ようやく日本でも少しずつ始まろうとしているのかもしれない。
早大では4年間QBとして活躍、再び野球に転身しプロを目指す吉村=2019年12月1日、撮影:小座野容斉
大学時代はレスリングフリースタイル130キロ級で世界王者となったスティーブン・ニール。NFLニューイングランド・ペイトリオッツでもGとしてスーパーボウルで3回優勝した=photo by Getty Images
【小座野容斉】
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