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2021-07-20

【陸上】寺田明日香が実践する、周りを気にせず自分に目を向けるためのマインドセット【連載#6】

東京五輪女子100mH代表の寺田明日香(ジャパンクリエイト)。恵庭北高ではインターハイ3連覇

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自分に目を向けることでネガティブな感情が消えた

 そして、そうしていたツケが20代に入った頃にやってきました。ケガから始まり、自分の体質の変化への不適応や体調不良なども重なり、今までほかの日本人選手の背中を見たことがなかったのに、予選や準決勝で敗退するようになっていきます。

 勝ち続けていたときの過去の自分を捨てられず、謎のプライドと負けることへの羞恥心を背負って過ごす毎日。周りはどんどん前に進んでいくのに、自分だけが後退していくような劣等感。自分が出場できなかった日本選手権や世界の舞台を直視することはできず、陸上競技場に行くのも陸上の話をすることもつらくなっていきました。

 そんな状況になって初めて、勝つことの難しさと、“自分の目標”に目を向けることの大切さ、そのための過程の重要さを考えることができるようになりました。

 もちろん競技は誰かと競うものなので、他の選手のことが気になるのは当たり前の心理です。しかし、他人がどうなるかは自分がコントロールできる問題ではありません。なので、他の選手が何をしているか、何を考えているかに目を向けても、自分は一歩も前に進んでいけないのです。

 自分に足りないこと、自分のやるべきことにしっかりと目を向けられるようになったとき、成長への大きな一歩となりますし、他の選手へのネガティブな感情は消えるのではないかと考えています。

文◎寺田明日香 写真◎BBM

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