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2021-07-26

【陸上】「嫌な予感がする」10秒の幻の入部と高野コーチとの出会い【寺田明日香#連載12】

東京五輪女子100mH代表の寺田明日香(ジャパンクリエイト)

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10秒の幻の入部とコーチとの出会い

 横田君には復帰したい旨は言わずに「相談があります」とだけ送ると、横田くんからの返事は「嫌な予感がする」。

“さすが勘のいい横田君”と一人で感心しながら、「短距離(ハードル)の選手って見てもらえたりします?」と立て続けに聞くと、「10秒考えたけど無理」とのことで、私のTWOLAPS TC入部はわずか10秒で幻となりました。代わりに「俺のオススメのコーチがいる」と紹介していただいたのが、現在コーチをしてくれている高野大樹コーチでした。

 そこから現在のチームあすかのスタイルが出来上がったわけですが、多くのスタッフに関わってもらいながらの競技生活は、共通認識がないと難しいのでは、と考えていたので、私の考えていることや思っていることは、最初の頃から隠さずに正直に伝えるようにしています(なので文句も言います)。

 相手に分かってもらいたい、と思っているときこそ、しっかりとコミュニケーションを取ることが必要なのです。

 陸上選手に戻るときに、スタッフ全員に伝えたビジョンは「オリンピックの決勝に残れる選手になりたい」でした。

 昔の私なら、そんなことはおこがましくて口に出せなかったでしょうし、そんなの無理だと笑う人もいることでしょう。ただ、今もそのビジョンは変わっていません。

 人と違う道を歩んできたからこそ、その経験を活かして、ぐんぐんと前に進んでいきたいと思っています。

文◎寺田明日香 写真◎BBM

Profile
てらだ・あすか
1990年1月14日、北海道生まれ。柏丘中→恵庭北高→北海道ハイテクAC(以上、北海道)→パソナグループ→ジャパンクリエイト。小学生時代に全国で活躍し、中学では伸び悩むも、高校では100mHでインターハイ3連覇、3年時は100m・4×100mRとの三冠。2008年の日本選手権では100mHで史上最年少優勝を飾り、10年まで3連覇。09年のベルリン世界選手権に出場。13年に引退し、大学進学・結婚・出産を経て、16年8月に7人制ラグビー転向。18年12月、陸上競技に復帰し、19年9月に12秒97(+1.2)を出し、19年ぶりに日本記録を更新。ドーハ世界選手権に出場。東京五輪イヤーの今季、4月に12秒96(+1.6)、6月に12秒87(+0.6)と立て続けに日本記録を更新。11年ぶりに日本選手権優勝。東京オリンピックでは決勝進出を目指す。

文◎寺田明日香 写真◎田中慎一郎

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