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2023-08-18

【連載 大相撲が大好きになる 話の玉手箱】第11回「ゼロ」その4

平成30年秋場所千秋楽、三賞選考委員会で、親方衆の手は挙がらず、史上初めて受賞者ゼロとなった

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ものの始めは1ですね。1から出直す。いいじゃ、ありませんか。
でも、その1より下がゼロ。ゼロからスタートを切る。
いかにもまっさらなところからものごとを始めるという気迫が感じられるじゃありませんか。
それはともかく、大相撲界にもゼロに関連するエピソードが幾つも転がっています。
今回は、そのゼロにまつわるエピソードを集めました。
※月刊『相撲』平成31年4月号から連載中の「大相撲が大好きになる 話の玉手箱」を一部編集。毎週金曜日に公開します。

ついに三賞ゼロに

記録はいつかは途切れるもの。平成27(2015)年初場所から3年後の30年秋場所は、本当にこれといった三賞候補が見当たらない異常事態に陥った。鶴竜、白鵬、稀勢の里の3横綱が29年ぶりに初日から4連勝するなど、横綱、大関陣がすこぶる安定し、三役以下に勝ち星を与えなかったのだ。
 
終盤、6連勝して9勝を挙げた新小結の貴景勝などの名前が挙がったものの、採決で相次いでふるい落とされ、ついに三賞史上初の受賞者がゼロに。選考委員の1人の阿武松審判部長(元関脇益荒雄)は、

「若手が上位に跳ね返されるとこうなる。みんな、もっとがんばってもらいたい。ただ、上位がいいと場所が引き締まるけどね」
 
と苦虫を噛み潰したが、受賞し損なった貴景勝はこう言って哲学者の顔をした。

「人の評価は(自分では)どうしようもない」

月刊『相撲』令和2年2月号掲載

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