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2023-11-06

【天龍プロジェクト】11・6開幕「龍魂杯」を前に天龍源一郎に聞く、「後楽園は俺が誇りに思う天龍プロジェクトの選手たちへのご褒美だよ!」【週刊プロレス】

「龍魂杯」出場選手に囲まれた天龍

いよいよ本日11月6日より開幕する「第3回龍魂杯」。同トーナメントに出場する全16選手のインタビューに加え、最後に天龍源一郎が語る天龍プロジェクトをお伝えする。決勝戦がおこなわれる11・19後楽園ホールにて約1年ぶりに来場する予定だが、現場を離れている間も配信で選手たちのことは見てきた。その中で感じたことを中心に語ってもらった。
◇       ◇      ◇
――天龍さんが現場を離れる中で、天龍プロジェクトは再始動から3年目に入り、今年も「龍魂杯」が開催されます。

天龍 これはね、選手たちの力と(嶋田紋奈)代表の力に尽きるよ。嬉しいしありがたい。こうしてベッドの上で闘っていられるのも、天龍プロジェクトがあるからであって、頑張ろうという気にさせてくれていますよ。

――そこはほかの団体を見るのと違ってきますよね。

天龍 天龍プロジェクトだからこそ、しょぼい試合や活気のない試合をやったら腹が立つんだよ。ヨソの団体だったら、腹なんて立たないよ。

――体調がこういう状況にあるからこそ、怒りが湧くというのは大事なのだと思います。

天龍 そうだね。やっぱり怒りがエネルギーになるからね。いい試合を見せてくれても力になり、そうじゃなかったらなかったで力になる。それが俺にとっての天龍プロジェクトですよ。試合の内容もだけど、そういう存在だからこそ俺はどこに出しても恥ずかしくないって前から言っているんだよ。ただ、場慣れしていないからそこだけが心配だよね。いつも通りやれば結果は出ると思うけど、大きな場所とかを意識したら委縮してしまうかもしれない。でもそこはどの選手も、いつも通りにやればいいんだよ。ウチは所属選手がいる団体じゃない。にもかかわらずこの3年で本当にどこでも通用するものを築いてきた。そこは天龍源一郎にとっても、誇りですよ。

――その言葉を聞いた選手たちも誇りに思うでしょう。

天龍 そういう選手をよくチョイスしてピックアップしているなって、代表を見ていて思うよね。最初は初めて見る選手がほとんどだったから、再始動してどうなるかなんてわからなかった。それが3年でここまでの形になったんだから、よく見て選手を上げているんだなって思うよ。

――天龍さんは体調を崩されるまで、天龍プロジェクト生配信の解説席で試合を見られていましたが、離れたあとも欠かさず配信を見ているそうですね。

天龍 それが今の楽しみだからね。まあ、今はみんな安定してきているように映っています。だからここからは、お客さんが「あ」と言えば「い」って返すんじゃなくて「か」から「さ」、さらに「た」というようにそういう返し方をしてくるのか!って思わせないと、いずれかはお客さんも満足できなくなる。安定っていうのは、逆に言うと怖いものだから。みんな、ずっとこのリングに上がってきた中で天龍プロジェクトのお客さんが何を求めているのかつかめてきているだろうけど、実はそこに怖さがあるのがプロレスだよ。

――解説席を離れて、画面を通じて見る中で天龍さんに刺さっている選手はいますか。

天龍 それは矢野啓太だね。でも彼はね、もっとひねくれていいんだよ。いろんな手を持っているけど、それに対し正直でしょ。

――相手の裏をかくというよりは、自身の技術に対し忠実に攻めるという感じです。

天龍 そう。もっと人の裏をかくプロレスをリングの上で発揮できたら、今以上にお客さんの目を引きつけるようになるよ。天龍プロジェクトのお客さんは矢野啓太がどういうプロレスラーなのかわかった上で見に来ていて、矢野もちゃんとそれに応えてその通りの試合を見せている。じゃあ、そこからちょっとだけ離れたら矢野はどんなものを見せるだろうって興味が出るじゃない。

――先ほどの安定もそうですけど、見る側の想像を超える何かが必要ということですか。

天龍 そうだよ。そりゃ矢野啓太はプロレスが好きだから、そこからなかなか離れられないだろう。自分が好きなスタイルを長い時間かけてここまで築いてわけだからね。でもそれはやる側の感覚であって、いったん客席から自分を見た時にここからどんな動きをするかって考えていることに気づくはずだよ。それを読んだ上で上回る、度肝を抜くことが矢野には必要なんじゃないかな。

――1年3ヵ月、IJシングルのベルトを守り続けて“ミスター天龍プロジェクト”を名乗っている佐藤光留選手に関しては?

天龍 これこそ究極の安定で、彼の試合を見ていれば何も心配はいらないし、安心できる。俺が知っている頃の全日本プロレスで言ったら、ジャンボ鶴田だな。ただやっぱり、矢野と同じようにちょっと羽目を外したところを見てみたいという欲求がないわけではない。でもそれは、佐藤光留の本心とは違うだろうから言っちゃいけないのかもしれないけど、そこがジャンボ鶴田に似ているところだよね。

――ミスター天龍プロジェクトを名乗ることに関しては…。

天龍 何も言うことはないよ。その通りだよ。

――公認になりました。

天龍 それだけのことをやってきたからね。あと、拳剛に首はどれぐらい悪いのか聞くと多く語らないんだけど、けっこう悪いらしいと本人は思っているようだから、100%以前と同じ拳剛を望むのは無理なんだろう。その中で首の状態とうまく付き合って、慣れたところから拳剛独自のプロレスが本当の意味で開眼していくんだと思うよ。ずっと見ている人たちは、どうしてもケガをして休む前の拳剛の幻影を追いかけているから、モノ足りなさを感じているとしたらそれが要因なんだろうけど、これからの新しい拳剛を自分で見いだして、自分でファンに植えつけていく必要がある。

――天龍さんご自身も解説席から「拳剛はもっと弾けていい」と言われていました。

天龍 ハチャメチャなことをやるのが弾けるっていうんじゃなく、ここでこんな技を使うのか!って思わせるのも一つのアクションだからね。拳剛にはそこに気づいてほしいよ。
昨年8月の新木場大会を最後に天龍は会場に姿を見せていない
――第2試合の楽しいプロレスから脱却しつつあるSUSHI選手はどう映っていますか。

天龍 ファンが応援しているところにSUSHIもついてきているという点では、SUSHIは変わったこと、やっていないのよ。本当に応援する側のあと押ししたいという気持ちが押し上げてくれている。でも、そう思わせるのがプロレスでは大切なわけであって、彼の人よさがファンに伝わってプッシュしてくれているのであれば、そういう関係がプラスになっているっていうことだよね。あとは渡瀬瑞基。いつ見ても張り切ってやっていると思うよ。ああいう闘いはやっぱり響くよね。彼からは、これ以上を見せようっていう気持ちがひしひしと伝わってくる。そこがいいところだよ。さっきも言ったように、みんなどこに出しても恥ずかしくないことをやっているんですよ。でも、俺が見ていてビックリするような、いわゆる普通のプロレスの流れとちょっと違うことをやれば驚けるから、それを見せてくれっていいたいね。これは見る側の権利として言わせてもらうよ。

――それが見られたら、今以上に天龍さんも楽しめて力に転化されるでしょうね。

天龍 だって、考えてみてくださいよ。あちこちから集められて、別にこんなにも必死になってやる必要もないのに、そういう試合を見せてくれているんだよ。だから今年の龍魂杯の決勝は後楽園にしたんですよ。これはね、みんなに対するご褒美だよ。頑張ってきたやつらが新木場を飛び出て、後楽園にいく。おまえたちはここまで昇華したんだよ、身をもってファンにそれを知らしめてやれよっていう俺の気持ちをこめているよ。

――大会の締めでは、選手たちはみな画面を通じて「天龍さん、見ていますか」とエールを送っています。届いていますよね。

天龍 俺は逆に「おう、俺は見てんぞ!」っていう気持ちが強いですよ。

――見ていると、プロレスについて語りたくなるのも体調にいいのでは。

天龍 でもね、喋りたくなるのもアレだよ。なんであそこで終わっちゃって、あとひとつ何かやらなかったんだよって腹が立つ時があっても、それを直接言えないのがストレスだよ。天プロを見ていてよくあるのが、入ってきていきなりバーン!とやって、拍手をもらっちゃったらそこが打ち上げ花火になって途切れちゃう。線香花火をポンポンーンと出したあとに飛び蹴りとかを出して花火を上げんかい!って思うのが俺だからさ。入ってきてすぐにドロップキックやったら、それは沸くよ。でもそこからどんな技を出してもシュンってしちゃうじゃない。なんでその加減がわかんないんだよって見て思っても、それを選手にすぐ伝えられないんだから。他人がやっているから俺もやるんだっていうのが、俺は好きじゃない。

――体調が回復すれば、また選手に伝えることができます。

天龍 言わないと腹が立って仕方がないよ! だから龍魂杯に出る全員には(後楽園という)場所に負けないでいつも通りの自分を発揮した上で、願わくば1割2割違うことを出してくれたら、待ったなしでOKだよ。なかなかやりなれていないことはやれないんだよね、リングの中で。

――それでも現役時代の天龍さんは雪崩式フランケンシュタイナーを出して見る側の想像を上回りました。

天龍 そういうことですよ。ああいう驚きを見せてほしい。期待していますよ。(聞き手・鈴木健.txt)
「第3回龍魂杯」トーナメント表

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