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2023-12-16

【箱根駅伝の一番星】中距離高校王者が満を持して箱根に登場。兵藤ジュダが東海大の急先鋒に

学生駅伝デビューとなった全日本は2区区間9位で順位を3つ押し上げた(写真/中野英聡)

陸マガの箱根駅伝2024カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」では、出場23校の注目選手を紹介。本戦に向けて戦力を整えつつある東海大にあって、最も勢いのある選手ではないか。ケガを乗り越えた2年目、兵藤ジュダ(2年)は箱根予選会、全日本大学駅伝ともにチームに貢献すると、10000mで自己新をマーク。自身が望む1区で登場となれば、大きな仕事をやってのける予感も漂う。

 ケガで狂った長距離移行プラン

屈指のスピードランナーが、いよいよ箱根駅伝にデビューする。兵藤ジュダは東海大翔洋高(静岡)3年生だった2021年、福井インターハイの800mを当時高校歴代3位の1分48秒26で制覇。先に行われた1500mでは、高校歴代3位の3分41秒86で、この種目の高校記録保持者である佐藤圭汰(洛南高・京都、現・駒澤大2年)に次ぐ2位。残り1周で佐藤を猛追し、最後は0秒6差まで追いつめた。

高校時代は長距離・駅伝ブロックに所属しており、800mや1500mの練習をせずに大会に臨んでいた。大学進学後は長い距離や駅伝に挑戦するつもりで、「中距離は高校で終わりだから、インターハイは800mと1500mに出たい」という兵藤の意思を、東海大翔洋高の秋岡達郎先生が尊重したのだった。そして、高校最後の夏に中距離をやり切って、長距離に移行するはずだった。

ところが、東海大入学を控えた22年1月、右の脛骨を痛めてしまう。「治って走り始めて、また痛めて、の繰り返し。3月に入寮してからも、まったく走ることができませんでした」と振り返る。ケガの影響もあって長距離の練習はできず、大学1年目は中距離ブロックに入っていた。レースは6月の日本選手権1500m、9月の日本インカレ800mのみの出場。いずれも納得のいく結果を残せず、冬期もほとんど走れなかったという。

ラストスパートに自信あり

23年に入ってから徐々に脚の痛みが引いて、本格的に走り始めたのは3月。シーズン前半は1500mを中心にして、夏にかけて距離を延ばす計画を立てた。「自分を変えるには夏しかない」という意気込みで初めて参加した長距離の夏合宿では、ケガもなく、順調にトレーニングを積んだ。「思っていた通りに距離を踏めたし、練習消化率はほぼ100%でした」と自信をつけて、秋シーズンを迎えた。

初のハーフマラソンとなった10月の箱根駅伝予選会は、「15㎞以降にペースを上げ切れませんでした」と反省点はあったものの、1時間03分33秒で目標の1時間3分台を達成。3週間後の全日本大学駅伝は2区で区間9位。「すごく緊張したのですが、沿道からの応援が思っていた以上に大きくて、力になりました」と、念願だった学生駅伝の雰囲気を味わった。

 11月26日の日体大競技会では、自身2度目の10000mに出場。「最低でも28分30秒を切りたい。28分20秒を切れば、箱根に向けても自信になると思う」との言葉どおり、28分14秒75の快走を見せた。

来る箱根駅伝では1区を希望する。「ラストスパートには自信があります。チームに良い流れを持っていきたい」と、3年ぶりのシード権を狙う東海大を勢いづける。


初ハーフとなった箱根予選会は1時間03分33秒でチーム4番手に入った(写真/菅原 淳)

PROFILE
ひょうどう・じゅだ◎2003年8月5日、静岡県生まれ。飯田中→東海大翔洋高(静岡)。高校3年時の福井インターハイ800m優勝、1500m2位の実績を引っ提げ、東海大に入学。大学2年時の箱根駅伝予選会で1時間03分33秒、学生駅伝初出場となった全日本では2区区間9位。11月の日体大競技会で28分14秒75の自己新をマークした。5000mの自己ベストは13分54秒70(高3)、ハーフ1時間03分33秒(大2)。

文/石井安里 写真/中野英聡、菅原 淳

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