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2018-12-14

【2018ジャパンXボウル プレビュー】 富士通の藤田智HCインタビュー 「まだまだもっと成長できる」

12月17日(月)、アメリカンフットボールの日本社会人選手権「JAPAN X BOWL(ジャパンXボウル)」で対戦する、富士通フロンティア―ズとIBMビッグブルー。両チームのヘッドコーチに、インタビューした。

前回のIBMケビン・クラフトHCに続いて、今回は6年連続ジャパンXボウル出場の富士通・藤田智ヘッドコーチ(HC)に話を聞いた。2年連続王者とはいえ、今季はQBとRBが入れ替わるという、大変革がチームに起きた。そんな中でもシーズンが深まるにつれチームが成長し、全勝でここまでたどり着いた。藤田HCが常に言い続けているのは「自分たちが決してぶれない」こと。それはここから行われるすべてのボウルゲームで、選手たちが肝に銘じるべき言葉のように思えた。

三連覇を狙う富士通フロンティアーズの藤田智HC=撮影 Yosei Kozano

◇大きかったRBニクソンの固定

Q,今の手ごたえは

藤田HC
もう本当に、1試合1試合で、精いっぱいで、なんとか、ここまでたどり着いたという感じだ。なので、手ごたえなどなく。毎週毎週、どうやったらちょっとでもよくなるかということだけだ。

Q,逆に言うと、良くなることができるチームであった。

藤田HC
そうだと思う。あいさつでも言ったが、そういう伸びる余地は、まだ残っていると思う。

Q,まだまだ伸びる余地があるというが、練習はどういったことを

藤田HC
試合までの練習回数は、多くないし、限られている。ただ、うまくなれるポイントはあると思う。そういう技術の練習はしっかりやる。ディフェンスはタックルとパスカバー。オフェンスはOLとRBのコンビネーション。QBとレシーバ―のコンビネーション。この辺りは、まだまだ改善の余地がある。そこで伸びしろを作れる

Q,去年までのQB(コービー・キャメロン)とRB(ジーノ・ゴードン)のオフェンスは完成された部分があった。

藤田HC
やはり、(キャメロンの在籍した)4年、(ゴードンの)5年という時間がかかったチームだったので、そこと比べると、今はまだまだ全然という状態だ。

Q,(キャメロン、ゴードンが引退した)今春は、何がどうなるのか全然わからなかった。

藤田HC
そうだった。ただ、それは秋シーズンに入ってからも同じだった。チームがどういう風に転ぶのかわからない状態だったので。

Q,先に(トラショーン・)ニクソンがRBとして固まったというのは大きかったのか。

藤田HC
そうだと思う。そこは一つの武器なので、そこを中心にオフェンスを作るということはできた。それによって、他の所へ手を回す、時間と余裕はもらえたと思う。

富士通フロンティアーズの藤田智HC=撮影 Yosei Kozano

◇開幕戦の大勝、今回はまったく無関係

Q,去年までのキャメロンが巧いQBだとすれば、(マイケル・)バードソンは強いQBだと思うが

藤田HC
まあ、(195センチ、110キロと)体が大きいですから。

Q,どちらのタイプがやりやすいのか

藤田HC
やりやすいかどうかということではない。これはアメリカ人のQBに限らないことだが、QBは人によってタイプが違う。そのQBが一番力を出せる(オフェンスの)形でやるということが、まずは一番大切かなと思う。
誰がいいとか、どういうタイプのQBが良いというのは関係なく、その選手に合ったオフェンスの形と、周囲のメンバーとのコンビネーションが合えば、良いQBになる。
どれだけ才能のあるQBでも、(オフェンスの戦術や周囲のメンバーと)フィットしなかったら、チームとしては良いQBになかなかなれないと思う。

Q,IBMも開幕直前でクラフトが負傷して、去年までのエースQBがいないという意味では富士通と同じ状況だった。そこで、富士通でバードソンと同じように、政本(悠紀)が育ってきた。

藤田HC
開幕戦はもう何カ月も前のことなので、今はまったく関係ない。まったく新しいチーム同士の対戦じゃないかと。お互いにそういうチーム状態だと思う。

Q,藤田さんの眼から見て、政本はどんなQBか

藤田HC
良いQBだと思う。走れるし、パスも投げられるし。一番いいのは物怖じしないところではないか。どんな時でも落ち着いている。

Q,一度あれだけのスコアで勝った相手ともう一度やるということで、勝っている方の難しさは

藤田HC
試合の結果ということよりも、同じ相手と2回やるというのはお互いに難しいと思う。1回目の時は、その時の精いっぱいで戦っている。今回は少し時間があるので、少し目新しいこともできるかもしれないけれど。個々の部分の力関係や相場観はお互いに分かっていると思うので、ごまかしで戦うことはなかなかできない。

Q,去年は猪熊のビッグプレー(リターンTD)で先制パンチを浴びせたが、ああいうことは再びあるのか

藤田HC
あるといいが。そればっかりは試合を実際にやってみないとわからない。とにかく、自分たちができることをやるしかない。

準決勝で宿敵オービックを激戦の末に破り、ハドルで選手たちに言葉をかける富士通の藤田智HC=撮影 Yosei Kozano

◇自分たちがぶれないというのが一番大事

Q,あえてポイントとなるのを挙げるとすればどんなことか

藤田HC
やはり、自分たちの力をしっかり出す。気持ちがぶれないよう試合をする。結果は結果。プレーをした結果なので。プレーに行くまでの部分しか、自分たちはコントロールできない。そこをしっかりとやる。自分たちのできることをやるというのが大事。

Q,対戦する両チームのヘッドコーチがQB出身というのは、ジャパンXボウルでは珍しいことだが。

藤田HC
考えたことがなかった。今言われるまで気づかなかった。現役時代にQBだったことも、今は意識したことがない。(笑いながら)もう昭和の話だから。

Q,オフェンス寄りの視点でゲームを見ているのか

藤田HC
うーーん。多分自然とそうなっていると思う。それはある。

Q,富士通、IBMはオフェンスマインドのチームという印象が強いが

藤田HC
ただ、(オービック、パナソニックを破った)準決勝を見る限りは、勝った両チームともディフェンスがとても強いと思うので。ここら辺まで来ると、どちらかだけでは勝てないと思う。

Q,準決勝でオービックを破った後のハドルで、藤田さんが選手に対して「ほんまにようやった。痺れた」と声をかけた。普段なかなかない褒め言葉のように感じられたが。

藤田HC
(笑いながら)自分ではもっといろいろ(褒め言葉を)言っているつもりだが。

Q,フットボールとして強い、弱いは別にして。チームのメンタルの部分の成熟度は年々あがっているのか。

藤田HC
それはそうかもしれない。年々良くなっていると思う。それが一番大事なことで、基本にしたいことであり、一番の自信になる部分だ。プレーの結果は、試合の中で相手次第で変わってしまうもの。自分たちがぶれないというのが一番大事だし、そういうチームでありたい。

Q,失礼なことを聞いて恐縮だが、富士通はこれだけ勝っていても、(東京スーパーボウル時代も含めて)まだ負け越している。昔はぶれていた部分があったということか。

藤田HC
どうだろうか。今はわからない。私はずっと(コーチとして)そこにいたので、なかなか比べられない。

Q,今のチームは、そういう部分では手ごたえがある。

藤田HC
良くなっていると思う。そしてまだまだもっと良くなる。絶対に成長できる。やればやるほど、良くなる。やり方を誤ると悪くなってしまうので、このチームを放っておけないところだと思う。

【取材・撮影:小座野容斉】

準決勝で勝ってJXBのパンフレット掲載用の記念撮影で。多くのHCと同様、藤田さんも後方の目立たないところにそっと立つ= 撮影 Yosei Kozano

対戦相手IBMのケビン・クラフトHCインタビュー

富士通の2018シーズン戦いの軌跡

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