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2022-06-07

【陸上】日本選手権展望・男子5000m/2連覇狙う遠藤日向に代表経験のある富士通トリオが迫る。駒大ルーキーの佐藤圭汰にも注目

3位以内に入れば代表内定となる遠藤

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オレゴン世界選手権代表選考を兼ねた第106回日本選手権(6月9日~12日/ヤンマースタジアム長居)。初日(9日)の最終種目として行われる男子5000mの優勝争いは、遠藤日向(住友電工)を中心に展開することが予想される。

世界選手権本番を見据える遠藤

遠藤の2連覇の可能性が高い。ただ1人の世界選手権標準記録(13分13秒50)突破者で、3位以内に入れば代表が内定する。

昨年の日本選手権以降、この種目では日本人選手に負けていない。ニューイヤー駅伝2区で歴代日本人最高記録を出し、4月の金栗記念では1500mで3分36秒69の日本歴代3位をマークした。

昨年12月のエディオンディスタンスチャレンジin京都を13分16秒40で走ったときは、3000m以降で塩尻和也(富士通)に引き離されたシーンもあった。「スピード持久力が課題」(渡辺康幸監督)だったが、13分10秒69(日本歴代2位)を出した5月のゴールデンゲームズinのべおかでは先頭集団で走り続け、スピード持久力も上がっている。のべおかではラスト1周を55秒7で走り、国内チーム在籍のアフリカ勢に競り勝った。タイム以上に強さを感じさせるレースだった。

すでに7月の世界選手権に向けた練習に入っている。日本選手権は確実に3位以内に入ることが目的になるが、今の遠藤ならどんな展開になっても対応できるだろう。

五輪代表経験者の富士通トリオ

富士通トリオへの期待も大きい。松枝博輝と坂東悠汰は昨年の東京五輪代表。リオ五輪3000m障害代表の塩尻も京都で13分16秒53と、遠藤に0.13秒差の走りをした。

松枝は17年と19年、坂東は20年の日本選手権優勝者で、ラスト勝負にも強い。遠藤のラストの強さも前述の通りで、ラストスパート合戦になれば壮絶な展開になる。だが、東京五輪では「標準記録を切らずに出場しても通用しない」(松枝、坂東)と痛感した。日本選手権後に標準記録を狙いに行く方法も残されているが、気象条件などが良ければ、調子を合わせる日本選手権で記録も狙いたい。

ラストのキレが持ち味の松枝
ラストのキレが持ち味の松枝

昨季の5000m日本リスト1位の塩尻

昨年の5000m日本リスト1位の塩尻

塩尻も含めた富士通勢に共通しているのは、駅伝の10km以上の区間で実績があること。トラックの5000mのスピードとイコールではないが、遠藤に勝つためにも、標準記録を破るためにもハイペースに持ち込もうとするだろう。特に塩尻はラスト勝負になると苦しいので、その前に引き離そうとするのではないか。

ダークホースの砂岡
駒大の佐藤にも注目

ダークホースとして砂岡拓磨(コニカミノルタ)の名前が挙げられる。のべおかでは遠藤に37秒も引き離されたが、昨年の京都では13分19秒96と遠藤、塩尻に3秒差。昨年11月の日体大競技会では13分29秒86の遠藤に対し、13分29秒95と迫った。

駒大のルーキー佐藤はどんな走りを見せるのか?
駒大のルーキー佐藤はどんな走りを見せるのか?

佐藤圭汰(駒大1年)はのべおかで13分22秒91のU20日本新記録をマークした。シニアになるとラストが課題だが、速い展開になれば再度のU20日本記録更新と3位以内も可能性はある。

文/寺田辰朗 写真/小山真司、上野弘明、中野英聡

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