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2022-06-10

【陸上】日本選手権展望・男子3000m障害/死角なしの三浦龍司を中心に、実力者たちが世界レベルのレースを展開!

三浦は、世界選手権本番を見越してどんなレースを展開するか?

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オレゴン世界選手権代表選考を兼ねた第106回日本選手権(6月9日~12日/ヤンマースタジアム長居)。3日目(11日)の最終種目に行われる男子3000m障害は、昨年の東京五輪7位、大学入学以降はこの種目で日本人選手に負けなしの三浦龍司(順大3年)がレース全体を高いレベルに導くだろう。

専門外種目でも強さを発揮
三浦に死角なし

三浦の2連覇が濃厚だ。男子3000m障害で日本人初の五輪入賞(東京五輪7位)という大舞台での実績、大学入学後、国内選手に一度も負けていない勝負強さ。2020年以降の実績で、三浦が勝てない理由は見つからない。

今季は1500mと5000mでも、両種目を専門にする選手を上回る走りを見せている。4月の金栗記念1500mでは3分36秒59の日本歴代2位で関係者を驚かせ、織田記念5000mではこの種目の東京五輪代表だった松枝博輝(富士通)に競り勝った。5月の関東インカレ5000mではラスト1周を54秒台後半と、ワールドクラスのラストスパートを見せた。

3000m障害は5月上旬のゴールデングランプリ(GGP)1レースだけだが、残り1000mからスパートして2位のフィレモン・キプラガットに5秒02、3位の山口浩勢(共に愛三工業)に6秒99の差をつけた。中間走でもラストスパートでも、走力はワンランク上で、三浦に死角を見つけることはできない。障害を越え、接地してから走り出す局面のスムーズさも高く評価されている。

標準突破への目安は
2000m通過5分35秒?

しかし、勝負に絶対はない。三浦とともに東京五輪に出場した山口と青木涼真(Honda)も優勝を狙ってくるだろう。リオ五輪代表だった塩尻和也(富士通)は5000mに専念するが、17年世界選手権代表だった潰滝大記(富士通)も、冬の駅伝では好調ぶりを見せていた。

山口の武器はラストスパート。三浦のラストが世界レベルといっても、山口も勝機を見出すとしたらラスト勝負だろう。青木の場合は中間走で振り切る展開だろうか。ニューイヤー駅伝5区で区間2位とロードでの実績は三浦を上回り、5000mの自己記録(13分21秒81)でも青木が5秒速い。前半をリードする可能性が高い潰滝も、ハイペースに持ち込もうとするだろう。

三浦以外は世界選手権標準記録(8分22秒00)を突破していない。日本選手権で3位以内を確保して、6月26日までのレースで標準記録を突破する方法もあるが、三浦と走る機会を利用する方が可能性は高いだろう。

山口(左)、青木は昨年の日本選手権同様、標準突破で代表入りを狙う 写真/中野英聡
山口(左)、青木は昨年の日本選手権同様、標準突破で代表入りを狙う

冬の駅伝シーズンから好調を維持する潰滝 写真/小山真司
冬の駅伝シーズンから好調を維持する潰滝

GGPは2000m通過が5分40秒で山口と青木は8分29~30秒台だった。それに対して昨年の日本選手権は5分35秒の通過で、東京五輪代表を決めた3人が標準記録を突破した。世界ランキングでも山口、青木、楠康成(阿見AC)も出場資格を獲得できる位置にいるが、標準記録突破で代表入りを決めた昨年の再現を期待したい。

4月に2000m障害の日本最高をマークした楠も標準突破に挑む 写真/小山真司
4月に2000m障害の日本最高をマークした楠も標準突破に挑む

文/寺田辰朗 写真/小山真司、中野英聡

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