close

2020-04-16

【System of Arthur Lydiard Vol.11】2巡目以降も新たな自分に出会える!これもリディアード・トレの真価

先を見据えた正しいトレーニングを

「タイムを追って、トレーニングを組むな!」

 これもリディアードの持論でした。その心は「正しいトレーニング・サイクルを繰り返していれば、タイムは自然にあなたの元にやってくるものだ」と、いうわけです。

 アメリカでは、一時期のマラソンブームで、ネコも杓子もフルマラソンに挑もうとして、「ラン:ウォーク」プログラムというものが爆発的な人気となりました。

 例えば、2㎞走って400m歩く、といった具合に「ラン」と「ウォーク」を組み合わせた内容ですが、これがけっこう効果的なのです、残念ながら(笑)。実際にこのやり方でフルマラソンに挑むと、案外と練習不足でもなんとか完走(&完歩?)できてしまうものなのです。

 しかしながら、不完全な状態でゴールまで辿り着いてしまう分、走る能力の「進化」も中途半端です。「1回だけでもフルマラソンを走ったと言えれば、それでいいや」と、続ける意思のない“思い出づくり”でレースに挑む人もいるかもしれませんが、それではちょっと寂しいですね。

 せっかく「ランニング」という「生涯スポーツ」に出会ったのであれば、ぜひ10年、20年と走り続けてほしいと思います。そのためには、まず裾野を広げ、何年か先を見据えた正しいトレーニング・プランを実行していくことが最良の策であると考えています。

アーサー・リディアード
1917年ニュージーランド生まれ。2004年12月にアメリカでのランニングクリニック中に急逝。50年代中頃、「リディアード方式」と呼ばれる独自のトレーニング方法を確立した。その方法で指導した選手が、60年ローマ五輪と64年東京五輪で大活躍。心臓病のリハビリに走ることを導入した、ジョギングの生みの親でもある。

著者/橋爪伸也(はしづめ・のぶや)
三重県津市出身。1980年からアーサー・リディアードに師事。日立陸上部の初代コーチを経て、バルセロナ五輪銅メダリストのロレイン・モラーと「リディアード・ファウンデーション」を設立。2004年以降はリディアード法トレーニングの普及に努めている。現在は米国ミネソタ州在住。

ランニングマガジン・クリール 2020年5月号

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事