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2018-10-14

【System of Arthur Lydiard Vol.6】リディアード・トレーニング①有酸素能力発達の走り込み

やがて疲れ知らずに!

「ロングラン」も、もちろん2時間以上継続して走れればそれに越したことはありませんが、まだその域に達していない段階であれば、「だいたいこれくらいなら、走ろうと思えば毎日でも継続して走れるかな」という時間の倍を目安とします。例えば「30分ならいつでも続けて走れる」という人ならば1時間。その上で、30分と1時間との間で強弱をつけて、1週間の流れをプログラムします。

 まだ30分間のランニングがスタンダードで、それも週4回が限度という初心者の場合は、表3のようになります。このように、とにかく強弱をつけながら、継続して走れる時間を徐々に延ばしていく。そして、最終目標は2時間継続走です。

 このやり方は、連載第3回で紹介した初心者用スケジュールと同じです(2017年7月号)。このような走り込みを6~12週間続けると、同じ心拍数を保ちながら走っていても、ペースがどんどん速くなっていくことを感じられるはずです。

 それこそ、リディアードが言うところの「疲れ知らずのコンディションが培われてきている証拠」です。シドニー五輪金メダリストの高橋尚子選手が、「芽も葉も出ない冬の日は、下へ下へと根を伸ばせ」という詩を有名にしましたが、ステップ1はまさしく、「根を伸ばしている」状態なのです。

 またこの期間は、次のステップ2となる「ヒル・トレーニング」の下準備として、少なくとも週に1度は起伏のあるコースを走るか、公園や芝生などの不整地で足首の柔軟性を高めるようにするといいでしょう。コースに坂がない場合は、歩道橋の上り下りを加えたり、走る以外に足首の柔軟性の運動(図1)を入れたりすることをおすすめします。

【図1】足首の柔軟性を養う運動
階段の縁などに前足部で立ち、かかとを上下させる

アーサー・リディアード
1917年ニュージーランド生まれ。2004年12月にアメリカでのランニングクリニック中に急逝。50年中頃、「リディアード方式」と呼ばれる独自のトレーニング方法を確立した。その方法で指導した選手が、60年ローマ五輪と64年東京五輪で大活躍。心臓病のリハビリに走ることを導入した、ジョギングの生みの親でもある。

著者/橋爪伸也(はしづめ・のぶや)
三重県津市出身。1980年からアーサー・リディアードに師事。日立陸上部の初代コーチを経て、バルセロナ五輪銅メダリストのロレイン・モラーと「リディアード・ファウンデーション」を設立。2004年以降はリディアード法トレーニングの普及に努めている。現在は米国ミネソタ州に在住。

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